SPECIAL INTERVIEW 平野綾
エリザベス1世の生涯を描く『レディ・ベス』が4月に世界初演で上演。日本ミュージカル界を代表するキャストが集結する同舞台について、タイトルロールのレディ・べスをダブルキャストで演じる平野綾が語る。
この春、東京・帝国劇場を皮切りに全国で上演されるミュージカル『レディ・ベス』。同舞台は、『エリザベート』や『モーツァルト!』を手がけたミヒャエル・クンツェ(脚本・歌詞)、シルヴェスター・リーヴァイ(音楽・編曲)、小池修一郎(演出・訳詞)のゴールデントリオによる世界初演となる作品だ。その中で、元・宝塚歌劇団の花總まりとともに主演のレディ・べスを演じるのは、『レ・ミゼラブル』などのミュージカルでその実力が高く評価されている平野綾。
「オーディションのお話をいただいた時、世界初演というのがすごく魅力的だと思いました。まだ誰もやったことがない役を作っていける、その現場に一から関わらせていただくのは、役者としてとてもうれしいお話でしたから。でも実際レディ・ベスの役をいただいてからは、世界初演ということより、エリザベス1世という人物にすごく興味がわいて、どんな人なのか、どう演じたらいいのかということに気持ちが向いてきました」
約45年もの間、英国女王として繁栄をもたらしたエリザベス1世だが、即位への道のりについては知られていないことも多い。
「エリザベス1世といえば、イメージするのが戴冠式の時の肖像画であったり、“私は国と結婚する”という言葉だったりなど、女王になってからのイメージが強い。でも、なぜそういうことをしたのか、そういうことを言ったのかという部分まで、興味を持つことがありませんでした。ですが今回いろいろ調べていくにつれて、知られていない彼女の人生について、深く思い至るようになりましたし、実際作品にもそういう部分が描かれています。女王になるまでに彼女はどんな経験をしてきたのか、彼女の中でどんな決断があったのかなど、今まで歴史の授業でサラっとしか見てこなかった部分も深く掘り下げているので、歴史としても興味深い。エリザベス1世が実際どんな人だったのかは分かりませんが、強くて、私の目指す女性像に近いのではと感じています」
その人物像を自分なりに解釈するために、文献探しなど役作りにも余念がない。
「エリザベス1世ってすごく有名ですけど、若いころの文献があまりないんです。肖像画をまとめたようなものや写真とかは多いんですけど…。意外なところでは、図書館にある児童図書や漫画などに関係図が詳しく載っていたりするので、それらや映画なども参考にしています。また、イギリスの話ですが、スペイン側からの視点から調べてみたり。そういうのを調べていくと、どことどこが戦争をしていたとか、どういう宗教があったとか、いろいろ繋がってきておもしろい。そういう時代背景を知ることもすごく役立つんじゃないでしょうか。所作は、すぐにできるものではないので、毎日の積み重ねで頑張るしかないと思っています。最初は先輩方の見よう見まねから勉強させていただき、必死に食らいついていきたいと思っています。最初に衣装を付けた時は、大きいし重たいし、びっくりしました。初めて衣装さんから“体を鍛えてね”って言われて、そんなに大変なんだって。普段は家で筋トレをしているんですが、本格的にジムに通おうかなと思っています。しかもヨガとかではなく、マッスル系で(笑)。自分を追い込んで頑張ります!」
若き日のレディ・ベスを囲む共演者には、山崎育三郎や山口祐一郎、石丸幹二など、日本ミュージカル界を代表する豪華キャストが集結する。
「ほとんどの方が、初めての共演ですごく緊張しています。でも『レ・ミゼラブル』で共演した山崎育三郎さんと和音美桜さんがご一緒なので、少しほっとしています(笑)。偶然ですが山崎さんは、私のミュージカルデビュー作からずっと相手役なので、安心感がありますし、頼りになりますね。今回の舞台は、メインキャストがほとんどダブルキャストなので、組み合わせによっていろいろな見え方があって、何度見ても楽しめる舞台になると思います。また、時代は違いますが、ベスという人物は、すごく芯が強く凛としていて、絶対今の時代の人にも、その気高い生き方は共感していただけるはず。自分の道をしっかりと踏みしめながら歩いて行きつつも、恋をして悩んだりするなど女性らしい部分もある。そんな完璧に見える人の中にある人間らしい部分を感じてほしいですね。歴史の一幕として、恋愛の物語としてなど男女年齢問わずいろいろな方に何かを感じていただけるんじゃないでしょうか。彼女の壮絶で波乱の人生を通し、見てくださった方に共感していただけるような作品になればうれしいです」
(本紙・水野陽子)
【日時】4月13日(日)〜5月24日(土) ※プレビュー公演 4月11日(金)、12日(土)
【会場】帝国劇場
【料金】S席 1万3000円、A席 8000円、B席 4000円 ※プレビュー公演 S席 1万500円、A席 7000円、B席 3500円(いずれも税込)
【チケット購入】東宝テレザーブ TEL:03-3201-7777(9時30分〜17時30分)、東宝ナビザーブ https://toho-navi.com/pc/navilink.htm(PC)/https://toho-navi.com/m/(モバイル)ほかプレイガイドにて発売中