2014年は「ゲス」の時代!? SPECIAL INTERVIEWペヤンヌマキ(脚本・演出)× 内田慈(主演)

ブス会*『男たらし』1月29日から上演開始

女が集団になったときにあぶりだされる赤裸々な感情、そこに生じる人間関係の綾を描き、多くの中毒的なファンを持つ「ブス会*」の新作『男たらし』が29日から下北沢のザ・スズナリで始まる。今回は初の試みに挑戦。いつもとはちょっと違った風景が展開されそうだ。(本紙・本吉英人)

 作・演出のペヤンヌマキは昨年『たたかえ! ブス魂〜コンプレックスとかエロとか三十路とか〜』という本を出版した。そこでは生きづらい女の道をいかにポジティブに乗り切るか、といったことを自らの体験を交えて描き、多くの反響を呼んだ。そんな彼女の作る作品は、今まではAV撮影現場での女優たちのお話とか、清掃会社の休憩室といった女だけの職場の話とか女優が中心の作品が多かったのだが、今回は女優1人に男優が5人という構成になっている。
ペヤンヌマキ(以下ペ)「これまでは徹底的に女の群像劇をやってきましたが、もう描き尽くした感があって、2012年の『女のみち2012』でひと区切りつけようと思ったんです。それで今までは男がたくさん出る作品ってなかったので、今度はそういう作品を作ってみようかなと思いました。男はたくさん出てきますが、男を描くというよりは、複数の男を通して見る女の生態みたいなものを描こうと思っています」
 そして主演を務めるのが内田慈。ペヤンヌマキの作品には過去2度出演。常に重要な役どころを演じてきた。
ペ「なんとなくなんですが、男性に囲まれている絵が似合うなって(笑)。周囲の女性の中でも特に、女性の集団の中での感じと男性に囲まれた時の感じのギャップが大きそうだなって思ったんですね」
内田(以下、内)「(笑)以前からよく言われてはいました。自覚はなかったんですが、今回稽古場に入ってみたら、今までの女性だらけの時とポジションが全然違ったので、“ああ、そうなのかな”って思いました」
 本格的に男を描くのは初めて?
ペ「今回はブス会の男版とでもいいますか“ゲス会”というテーマもあるので、ゲスな部分を全開で盛り込みまくっているんです。でもゲスな男ってこんなにたくさんいます、というだけでは終わりたくないんです。やっぱり最終的には“愛すべき人たち”というふうに描きたいとは思っています」
 タイトルの『男たらし』も随分刺激的。
ペ「自分で男をたらしていると思っていた人が、実はたらされていたり思うようにいかなくなっていたり、というふうになっていくんです」
 そういう経験はある?
内「……。好きになる人が一枚も二枚も上手な方が多いんですが、そういうときはたらされているんだろうなって思います(笑)。でもそのときは“それでもいい”って思っちゃうんでしょうね…。なんの話ですかこれは(笑)」
「ゲス」ってどんな感じ? 
ペ「いろいろな種類があると思うんです。例えば“銭ゲバ”なんていうのは人としてのゲス。それとは別に、人としては純粋でいい人なのに、男女関係においてはゲスになってしまう人っていますよね。都合が悪くなるとすぐ逃げちゃったりするような人ですね。でも、いくらひどいことをされても結局憎めない。怒る気もなくすような、ひょうひょうとしてのらりくらりと交わす技がすごいんですよね」
内「確かに恋愛の場において突然ゲスになる人は多いですよね」
 そういう人たちが盛り込まれているわけですね。
内「ペヤンヌさん曰く“この芝居はゲスのジェットコースターなんだ”とのことなので、どんなエピソードが飛び出すのやら、という感じです」
 見終わったらどんな思いを持つ?
ペ「内田さんの役は、この人によって眠っていたゲスな部分を引き出してしまうという側面もありますので、ゲスを呼び寄せる作品になるんじゃないかと」
内「ペヤンヌさんは観察眼がすごいんです。その観察眼で人の機微を切り取ったり創造したりしている。そういうものが盛り込まれたよくできたコメディーでもあると思うので、すかっと笑って帰ってほしいですね」
 奇しくも、昨年末の『THE MANZAI』ではウーマンラッシュアワーが優勝し、ツッコミの村本大輔のゲスっぷりが注目を集めた。ひょっとして2014年は「ゲスの時代」になるのか…?

ブス会*『男たらし』
【日時】1月29日(水)〜2月4日(火)(開演は水木月19時30分、金土14時30分/19時30分、日13時/17時、火17時。開場は開演30分前。当日券は開演の45分前より販売)
【会場】ザ・スズナリ(下北沢)
【料金】一般シート(指定席)前売4200円、当日4500円/ブスシート(入場整理番号付自由席・1〜3列目限定)前売4200円、当日4500円【問い合わせ】ブス会(TEL:080-7945-3567=平日10〜20時 [HP]http://busukai.com/)【脚本・演出】ぺヤンヌマキ
【出演】内田慈、古屋隆太(青年団、サンプル)、大窪人衛(イキウメ)、佐野陽一(サスペンデッズ)、松澤匠、金子清文