金メダリストの羽生が練習環境の整備訴える
ソチ五輪の日本選手団が25日午前、帰国した。選手団のチャーター機が到着した成田空港では約900人のファンと100人を超す報道陣が待ち受けた。
橋本聖子日本選手団団長、フィギュアスケートで日本男子初の金メダルに輝いた羽生結弦ら5人のメダリスト、旗手を務めたカーリング女子の小笠原歩らが都内のホテルで帰国会見を行った。ジャンプ男子の葛西紀明らノルディックスキーの選手たちはすでに20日に帰国し、ワールドカップ後半戦出場のため欧州遠征に旅立っている。
会見で羽生は「胸に金メダルをかけて帰ってこられて誇らしく思う。五輪チャンピオンらしい強いスケーターになれるよう、精いっぱい頑張る」と決意を語った。羽生には日本オリンピック委員会(JOC)から300万円、日本スケート連盟から300万円の計600万円の報奨金が送られる。報奨金の使い道については「震災への寄付だったりスケートリンクへの寄付だったり、そういうところに使おうかなと、今の段階では考えています」と語った。
羽生は仙台市出身で東日本大震災発生時は仙台市内のホームリンクで練習中。一時、リンクが閉鎖され、仙台を離れ練習場所を探して転々としたこともあった。
その後、一行は文部科学省を訪れ、下村博文五輪担当相にソチでの戦いぶりを報告。下村氏は「みなさんによって、多くの国民が勇気を感じた。国がもっと支援し、他国の選手に負けない環境づくりを応援したい」と述べた。
羽生はここでも「僕は被災地の仙台出身なんですけど、東北には6県で通年のリンクが1つしかない。カーリング、フィギュア、ホッケー、スピード、ショートもやっていて24時間ほとんど埋まっている状態で、なかなか練習時間が取れない。そういう環境で世界選手権3位まで頑張ったが、厳しいということでカナダに出る決断をした。これをきっかけにではないが、東北のスケーターの方々にご支援を…」と環境の整備を訴えた。
ちなみに会見ではスノーボード女子パラレル大回転銀メダルの竹内智香は報奨金についてはコーチと板を整備するサービスマンの3人で分けたうえで自分の取り分については「活動費に充てたい」、フリースタイルスキー女子ハーフパイプ銅メダルの小野塚彩那も「今後の活動費にも使っていきたい」と語っていた。
下村氏は23日にはNHKの番組で選手強化事業のあり方に触れ、現在3分の1となっている競技団体側の自己負担を実質ゼロとする方針を打ち出している。2020年までの時限立法的な措置になりそうだが、その成り行きに注目が集まっている。