長島昭久のリアリズム 集団的自衛権について考える(その四)

 さて、集団的自衛権を考えるこのシリーズも今回が最後です。この間、国会で若干の動きがありましたので、紹介しつつ本論の結論を述べたいと思います。
 まず、民主党は、3月4日、「内閣による憲法解釈について、・・・(内閣法制局による=筆者付記)従来の解釈との整合性が図られた論理的に導き得る範囲に限られ、内閣が、便宜的、恣意的に変更することは、立憲主義および法治主義に反し許されない」としながらも、「我が国を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、我が国の領土、主権、国民の生命及び財産を守る観点や安全保障に基づいて国際的な責任を果たすという観点からの新たな要請の有無を不断に検討し、(憲法解釈の変更も排除せず=筆者付記)必要な対応を取る」とする党見解をまとめました。その上で、個別具体的な事例に即して、我が国の安全保障にとりどのような自衛隊の行動が必要かを明らかにした上で、その諸行動を適否を憲法9条の解釈の範囲内で検証しようという作業を開始しました。
 一方、安倍政権では、4月にも出される「安保法制懇」の有識者提言を待って、与党内の協議を加速化させようとの基本方針でしたが、ここへ来て公明党や自民党内からも慎重論が噴出し、当初目論んでいた今夏の閣議決定の見通しはにわかに不透明となってきました。
 しかし、我が国をとりまく戦略環境は、悪化の一途をたどっています。尖閣をめぐり連日繰り返される中国公船の領海侵犯(背後には軍艦が控えています)、北朝鮮の核とミサイル脅威の増大、ウクライナをめぐり「力による一方的な現状変更」を試みるロシア等々。そういった深刻な環境悪化に対応するためにも、日米同盟協力の強化は火急の課題であり、そのための「日米防衛協力の指針」の見直し期限は年末に迫っています。
 尖閣をめぐる実効支配の強化や領土保全は我が国自身の努力で対処すべきことですが、それを超えた地域の安定や我が国の生命線であるシーレーンの安全確保は、米国との安全保障協力で対応しなければなりません。そのような中で、いつまでも集団的自衛権をめぐる国内(党内)論議に時間を費やし、「我が国に何ができるのか」を曖昧にし続けることは、国際政治におけるグローバル・プレイヤーとしてあまりにも無責任であると考えます。
 私は、この冷戦時代から積み残されてきた安全保障の重要課題を早期に解決するために、野党4党(民主、維新、結い、みんな)の有志議員とともに「外交・安全保障研究会」を立ち上げ、与野党の垣根を超えた現実的で建設的な政策提言と政治行動をめざして参ります。

(衆議院議員 長島昭久)