共依存に苦しむ3組の男女を描く『共に歩く』が公開
近年急増していると言われる“共依存”をテーマにした映画『共に歩く』が公開される。監督・脚本は同作品で長編デビューとなる宮本正樹。
「この映画では心の問題を扱っていて、“共依存”という状態と『アルコール依存症』『アルツハイマー型認知症』『子どもの強迫障害』を取り上げています。実はそれらすべては自分の体験なんです。自分が体験して苦しかったですし、相手も苦しんでいた。だから同じような状態で苦しんでいる人の助けになればと。また、世間では“共依存”ということがなかなか認知されてないので、それを知ってもらいたい。それがこの作品を作るにあたりの大きな原動力になりました」
実体験をテーマにするのは辛くないのだろうか。
「生涯のテーマだったので、いつか撮ろうという思いがありました。自分自身の中では客観化できていると思っていましたが、撮影中はやっぱり辛かった。シナリオを書いている時は割と平気だったのですが、撮影でリアルに再現されると、フラッシュバックというか…。撮影後も辛い状態がしばらく続きましたね」
重いテーマだが、見終わったあと不思議とほっこりとした気持ちになる。
「心の病気について理解してもらいたいし、苦しんでいる人がいたら助け舟を出してあげてほしい。周りの人が気づいてあげるだけで救われることもあるんです。そんな思いもありつつ、自分自身ハッピーエンドが好きなので、暗いまま終わりにしたくなかった。見終わってみると救いがあるというか、清涼感や清々しさを感じてほしい。テーマが重たい分、重々しく終わるとしんどいし、その先に希望が見えるようなエンディングにしようと思いました。重いテーマをリアルに描きつつ、前向きになれるエンターテインメント作品として楽しんでいただけたらと思います。欲張りですけど(笑)」