映画『キカイダー REBOOT』主演で注目度さらに上昇中! 入江甚儀
映画『キカイダー REBOOT』が話題だ。41年前、子供たちを夢中にさせた作品をリブート(再起動)させるこの作品で、主演を務めるのが入江甚儀だ。大河ドラマ『軍士官兵衛』にも出演し、注目度は上昇中。「もっともっと芝居がうまくなりたい」。役者としての欲も出てきたという彼にインタビューした。
『キカイダー REBOOT』の完成披露試写会が数時間後に迫っていた。どんな感想を持ってもらえるのかと不安でいっぱいになりそうなタイミングにも関わらず、入江甚儀は清々しい顔をしていた。「完成したものを初めて見た時に思ったんですよ、“うわー、これは面白いぞ!”って(笑)。だからもう、早く見てもらいたいって気持ちが強いんです。絶対いいって言ってもらえると思う」。
本作で映画初主演。特撮ドラマに確かな爪あとを残した『人造人間キカイダー』を再起動するという、とてつもなくビッグな作品への挑戦になった。
「プレッシャーは、あまり感じなかったんです。今だから思うんですけど、たぶん、そういった気持ちよりも僕がこの作品が好きだという気持ちが先行していたからだと思います。キカイダーやハカイダーのデザイン、作品のテーマ、台本も、全部が好きだと感じたし、話の軸もすごく深い。CGだったり、スーツの感じだったり、41年前にはできなかったけど、今ならできることがたくさんあるので、パワーアップすることは間違いない!より良い作品にしていけるっていう自信があったんです」
人間を助けるために作られたアンドロイドのプロトタイプ、ジロー(キカイダー)が任務をまっとうするなかで物語が展開していく。さまざまな能力を備えているジローには、善悪の判断を可能にするという未完成のシステム“良心回路”が組み込まれていて、それがジローを、そしてジローを演じる入江をも苦しませた。
「アンドロイド100%でもないし、人間100%でもない。どっちにもつかない中間の存在なので、どう表現するかすごく悩みました。劇中で少しずつ変化もしていきますし、監督と話し合うことも多かったです。昨日のこのシーンはどんな気持ちだったか、撮影シーンの直前はどうだったかを思い出しては、撮影に臨んでいました。感情の計算をする必要が常にあったので、たくさん考えて演じたなって思います。難しかったですが、その分、やりごたえはありました」
ライバルのアンドロイドやさまざまな敵との壮絶なバトルは見どころのひとつ。パンチにキックの応酬、“良心回路”由来であろう足への畳み掛けるような攻撃。壁に叩きつけられ、数メートル吹き飛ばされたりもする。映像効果もあるとはいえ、その戦いっぷりには息を飲む。
「アクションの練習期間は少ししかなかったんですが、このお話をいただく前からアクションをやってみたい、自分の武器にしていきたいという気持ちを持っていて、トレーニングをしていたので、スムーズに練習に入れました。練習期間中はもちろん撮影現場でも、マリ(女性型アンドロイド)を演じている高橋メアリージュンちゃんとは何度も何度も同じ手を繰り返して合わせました……いいシーンになっていると思います」
さまざまなトライをするなかで、自らキカイダーのスーツを着込んで演技にも挑戦した。通常、スーツを着た状態のシーンは、スーツアクターが担当するのが一般的だが……。
「なんか自分のなかでジローが成立しない気がしたんです。ジローの姿でいるときよりも、キカイダーの姿になったときのほうが、感情をむき出しにしていることが多いので、そのむき出しなところを自分で演じていないと……。後で声を入れるにしても、なんか距離ができてしまいそうな気もして。ただ、やるっていったものの、実際やってみたら、すごく大変でした。正面を向いているつもりなのに全然向いていなかったりとか、全然コントロールが効かないんです。圧迫感もありますしね。スーツアクターの方に横についてアドバイスをもらいながら、どうにかやり遂げたんですが、スーツアクターの大変さを身を持って知ることができたのはいい経験でした」
「映画初主演の作品が、この作品で良かった」と、入江は言う。
「アクション、機械を演じる、初挑戦のこともいろいろありました。その分思い入れも強い役だし、作品になりました。自分だけでなく、スタッフさんの熱の入れ具合もすごいんです。CG、エフェクト、音楽……画面からスタッフさんの熱量を感じます。小さなお子さんもオールドファンも楽しんでもらえると思うので、いろんな人に見ていただけたらうれしいです」
偶然にも公開直前の18日は、入江の21歳の誕生日。本作の公開は彼への最高のプレゼントになったといえそうだ。「20歳の1年は、自分にとって大きな1年になった」と本人は言う。振り返れば、『TAKE FIVE〜俺たちは愛を盗めるか〜』、『闇金ウシジマくん Season2 』、三谷幸喜の舞台『ロスト・イン・ヨンカーズ』と、話題作に出演。別所長治を演じている大河ドラマ『軍士官兵衛』も放送中。そんな自身を切り取った写真集『0—ZERO—』(6月4日発売)も並行して行われた。濃密な1年だった。
「この1年、自分が演じる役がいないと物語が展開していかないような、作品の核になる役を演じさせていただく機会に恵まれて、これまで以上に演じることの面白さを見つけられたし、もっともっとうまくなりたいという気持ちも出てきました。夢の目標値が大きくなってきた感じなんです。もし(キカイダーの)続編があるのなら、またやらせていただけるように、僕も役者としてさらにパワーアップしておこうと思っています」
(本紙・酒井紫野)
ロボットの平和利用によって国民に幸せをもたらそうというプロジェクトが進行するなかで、ロボットに心(良心)を持たせようとした光明寺博士とそれを否定する研究員のギルバート・神崎が対立。光明寺博士は非業の事故死を遂げ、彼が息子・マサルの体に移した研究データを追って特殊部隊が動き出す。狙われるマサルとその姉・ミツコの前に、光明寺が作ったアンドロイド・ジローが現れて……。出演は入江甚儀、佐津川愛、高橋メアリージュン、鶴見辰吾ら。監督は下山天、原作は石ノ森章太郎。
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