人間と人工知能の恋の行方は…!?『her/世界でひとつの彼女』

 心の痛手を抱える主人公と、彼のコンピューターのOSとしてインストールされたAI(人工知能)。互いの存在に喜びを見出した彼らは、ありえないはずの恋に落ちる—。『マルコヴィッチの穴』、『アダプテーション』を手掛けたスパイク・ジョーンズが、長編では初めて単独で脚本を書き上げ、第86回アカデミー賞と第71回ゴールデン・グローブ賞において脚本賞W受賞を果たした注目作。

 10年ほど前、人工知能に興味を持った監督が、実際にAIと会話を体験し、もしAIが単なるプログラムではなく完全な意識を持つまでになったとしたら…と本作のアイデアが浮かんだという。この物語のユニークなところは、意識を持つまでに進化したAIというキャラクターを登場させながら、あくまで普遍的な、恋する気持ちを描いたラブストーリーに仕上がっているということ。人間であるセオドアを通して知る世界にときめくAI・サマンサ。そんなサマンサを通して恋する喜びを再び見出していくセオドア。やがて2人は、お互いに触れることもできないという“距離”や、生きるスピードや処理能力の“違い”、そしてそれぞれの“変化”という、普遍的な恋の試練に直面していく…。

 セオドア役はホアキン・フェニックス。サマンサ役を演じたスカーレット・ヨハンソンは第8回ローマ国際映画祭で史上初、声だけの出演で最優秀女優賞を受賞。画面に登場するのは一方だけという、かつてないラブストーリーをリアルかつエモーショナルに表現する2人に魅了される一本。

STORY:近未来。妻との離婚問題で傷心の日々を送るセオドア。ある日、セオドアは最新型のAI(人工知能)型OSをインストール。AIでありながらチャーミングなサマンサと親しくなり…。
監督:スパイク・ジョーンズ 出演:ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス他/2時間6分/アスミック・エース配給/6月28日より新宿ピカデリー他にて公開 http://her.asmik-ace.co.jp/ PG12