江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 「ネタあらすじ編」
落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
口入屋(くちいれや)
ある大店の主人が口入屋、つまり今で言う職業斡旋所に女中を紹介してくれるよう頼む。若い男が多い店なので、できるだけ器量の悪い女と注文を出しておいたのだが、何を間違えたのか、やってきたのはお梅というふるいつきたくなるようないい女。店中が大興奮になる中、番頭はさっさと店じまいをして、みんなを寝させようとする。なんと番頭、みんなが寝静まったらお梅の部屋へ忍び込もうというのだ。夜も更けてむっくりと起き上がった番頭が部屋に行くと、お梅も起きている。実はこのお梅、男を手だまにとるとんでもない性悪女。そうとは知らずに、番頭まんまとお金を巻き上げられてしまった。そうとは知らず、次の日も部屋に行く約束をし、番頭はデレデレで帰っていった。続いてお梅の部屋に忍び込んだのは手代の源助。源助もまた、番頭同様にお梅に言いくるめられ、お金を巻き上げられ、次の日の約束をして帰っていった。その他も次々と店のものを翻弄するお梅。しかし、番頭をはじめ店のものが女中の部屋に忍び込んでいるのではと思ったおかみさんは次の日、女中部屋に行くはしご段を外してしまった。さて約束の日、暗闇の中を手探りではしごを探す番頭だが、いつものところにはしごがかかってない。仕方がないので、吊ってあるねずみいらずに手をかけてよじ登ろうとしたが、力を込めたとたんそれが落ちてきてしまった。下に落としたら大きな音がしてバレてしまうと思った番頭、とっさにねずみいらずを肩にかついでしまった。これをどうしたものかと思案している時に、手代の源助もやってきて、同じようにはしごの代わりにねずみいらずの反対側に手をかけると案の定落ちてきて、こちらもとっさに肩に担ぐ格好に。つまり図らずも番頭と源助が2人でねずみいらずの棚を担ぐ形になってしまった。そして3人目の男は天窓のひもを伝って降りようとして、井戸の中に落っこちる始末。そんな3人のドタバタを聞きつけたおかみさんが灯りを持ってやってくると、番頭と源助はとっさにいびきをかいて眠ったふりをした。「そこにいるのは誰だい?番頭と源助、2人して立ったままねずみいらずを担いで一体どうしたんだい?」「へい。引っ越しの夢を見ました」。