大人のラブコメに初挑戦!新たな魅力にドキドキ 工藤阿須加
ドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』の熱い投球で一気に注目度がアップした、俳優・工藤阿須加。次の挑戦は「初めての恋愛もの」。長谷川京子と繰り広げる大人のラブコメディー『ティファニードラマスペシャル 夏の終わりに、恋をした。』だ。「すごい勉強になってます」と、さわやかな笑顔を見せる本人にインタビューした。
「よろしくお願いします!」。スタジオに入ってきた工藤はさわやかそのものだった。集まった報道陣をぐるり見回すと一瞬驚いたような表情を見せ、「こんなに来ていただいてありがとうございます」と、頭を下げる。繰り返すが、さわやか。その言葉が示す意味、そのものの人だ。
デビューしてから2年半。少しずつ経験を重ねてきた。2013年の大河ドラマ『八重の桜』で主人公・八重の弟役を演じて注目を集め、今年はドラマ『ルーズヴェルト・ゲーム』でまっすぐな野球青年を演じて人気が爆発。「……うまく行きすぎだと思ってます、本当に。僕はなんにもできてなくて、周りの人たちが助けてくれて、なんていうか、波に乗ってるようなものなんです」と、本人は控えめだ。
テニスでプロを目指した時期もあるが、高校1年生の時に右肩を故障し、その道はあきらめた。「強かったかっていえば、そうでもないんですけど、本当にプロになりたいと思っていたので……挫折ですよ。それからはどっちつかずな感じでもがきました」。その時に、出会ったのが「役者になる」ということ。
「役者になりたいという気持ちを初めて父に伝えた時、役者はそんな簡単な世界じゃないって反対されました。それから少し経った二十歳になる前、父に呼び出されました。一人の男として社会に出ていくわけだから自分の人生を決めろって言われたんです。その時に、やっぱり役者になりたい、と。その時に言われたのが、“真剣に考えて決めたことなら許す”。本気で話したことに対して、許すって言ってもらえたこと。それが後押しというか、今の自分を作ってくれています」
最新出演作となる『ティファニードラマスペシャル 夏の終わりに、恋をした。』(フジテレビ系、26日放送)は、大人のコメディードラマだ。本人の言葉を借りれば、「恋愛もの」。これまで関わってきたものとは少しテイストが違う作品だ。「お話をいただいたときは、本当にうれしかったし、恋愛もののドラマをやるんだ!って、それだけでドキドキしてたんですよ!」と本人。
「(出演が決まって)意外というのでもないし、やった!っていうのもちょっと……。なんというか、自分が恋愛ものをやるっていうイメージがなかったんです。僕、役者を志したきっかけが『男たちの大和』なんです。大切な人を守るために戦う人のストーリーとか、伝えていくべきことを作品を通じて伝えられる人っていいなって。僕自身、家族が大好きで大切に思っていて、友達もそう。その気持ちって誰にも負けないし、演技の上でも人一倍出せる!って思っているので、そういう作品のほうが自分の持ち味が出るんじゃないかなとも思っているところがありました。だからこのドラマは僕にとっては新たな挑戦。撮影をしながら、いろいろ勉強させていただいてますし、刺激があります」
ニューヨークを舞台に、何かを抱えた世代も背景も違う2人の男女を描く。工藤の役どころは、映画監督を目指してニューヨークに渡り、ラーメン屋でバイトをする若者・俊平。ドラマはほぼ、長谷川京子演じるヒロイン、アラフォーのちかげとのやりとりで展開する。
「俊平は、年も同じぐらいで、自分自身と近いなって感じる部分も多くて、共感するところがたくさんあります。まっすぐなところとか、過去とか、挫折とか。これまで自分がしてきた経験を思い出したりしながら、取り組んでいます。これまでにない役なので、リハーサルからマンツーマンというか個別指導みたいに教えていただいたのもありがたかったです。そうしたことや、長谷川さんとやりとりしていくなかで、ニューヨークロケに向けてベースもできあがっていきました。ニューヨークという場所も助けてくれたと思います。おもしろい作品になっていると思います。ちかげには女性の想いが、俊平や僕のような世代にはその世代なりの思いがつめ込まているので、それを感じながら見ていただけたら、なにかが心の中に残る作品になっていると思います。ちかげと俊平、2人の珍道中に乗っかって楽しんでいただけたらうれしいですね」
このドラマで、役者としての新しい引き出しを確実に手に入れることになりそう。理想とする俳優を訪ねると、間髪入れず、西田敏行を挙げた。
「あこがれなんです。役者として素晴らしいことは言うまでもないんですけど、人としての魅力が画面を通しても滲み出てくる方。カッコいいなって思います。一人の男としてもカッコいいし、自分もそうなれたらなって思うんです。それと同時に、工藤阿須加でなければできないねって言ってもらえる役者にもなりたいです。そのためにも、役者としてはもちろん、人として成長していくことが必要です。もうプランはあるんですよ、ざっくりとですけど(笑)。1年後、3年後、5年後、そして10年後、その時点で何をやっておくべきか、それまでに自分が何を取得しておくべきかっていう。今は、基礎を固める時。だから、このドラマに関われたのはすごくうれしい。新しい一歩なんです」
そう熱っぽく語ると、「もちろん、家族や友人、スタッフといった周りの人たちに感謝することは前提ですよ」と、付け加えた。
初めてづくしのこの作品で、工藤はどんな魅力をさく裂させるのか。放送まであと少し。(本紙・酒井紫野)
オールNYロケ!あこがれのティファニーも登場!
世界の女性たちがあこがれる「ティファニー」とフジテレビがコラボする『ティファニードラマスペシャル 夏の終わりに、恋をした。』は、ニューヨークを舞台に、アラフォー女子のちかげとイケメン男子留学生の俊平という世代も立場も違うワケアリの男女によるユーモアたっぷりのやりとりで描く大人のラブコメディーだ。
ちかげは、別れた恋人を追ってひとりでやってきたニューヨークで、ひょんなことから、イケメン留学生の俊平と出会う。彼女の目的は恋人への復讐。ニューヨークの街を歩きながら、ちかげは俊平に語る。復讐を決めた経緯はもちろん、プラン……。話題は、人生観や恋愛観にも及ぶ。ティファニーのジュエリーは愛した男性からもらうべきものと決めていた、なんてことまでも。
ちかげを演じるのは、長谷川京子。4年半ぶりのドラマ主演となる。撮影に先立ち、長谷川は「すべてが会話劇ですし、2人だけのお話なので、楽しくするのも悲しくするのも、自分たち次第。ニューヨークのエネルギーと騒々しさのなかで、解放感をもってお芝居をしたい」と語っていた。
脚本は、大ヒットドラマ『ロングバケーション』を筆頭に、キラめく言葉の数々で作られるセリフを散りばめた作品で知られる北川悦吏子が担当。演出は同じく『ロングバケーション』を担当した永山耕三。他出演に、谷原章介、菜々緒ら。