衆院選 12月14日投開票
衆院選が「12月2日公示−14日投開票」の日程で行われる。安倍晋三首相は18日夜、官邸で記者会見。来年10月に予定した消費税率10%への再引き上げを平成29年4月まで1年半先送りすることを表明した。首相は消費税再増税について「アベノミクスの成功を確かなものとするため、法定通り来年10月には行わず、18カ月延期すべきだとの結論に至った」と強調。「今年4月に続き、来年10月に引き上げれば個人消費を押し下げ、デフレ脱却も危うくなると判断した」と述べた。個人消費を底上げするため、来年の通常国会に補正予算案を提出する考えも示した。
さらに、消費税再増税の先送りと同時に、経済状況などを見て再増税を停止できると規定した社会保障・税一体改革関連法付則の「景気弾力条項」を撤廃する方針も表明。再び延期はしないと断言した上で「財政再建の旗を降ろすことは決してない。29年4月に確実に消費税率を10%へと引き上げ、財政健全化目標も堅持する。国際的な理解は得られる」と語った。
議長を含めると自民党の現有議席は295、公明党は31で計326議席を占めている。次期衆院選は定数5減により過半数は238議席となるが、安倍首相は18日夜に出演したTBS番組で、衆院選の勝敗ラインについて「連立与党で過半数を得られなければ、アベノミクスが否定されたことになるから、退陣する」と明言した。しかし19日には自民、公明両党の幹事長、国対委員長らが会談し、衆院選の議席獲得目標について、与党で常任委員長を独占し、全委員会で委員の過半数を占める「絶対安定多数」となる266議席以上を目指す方針を確認した。与党内の士気を高める狙いも含め「上方修正」した格好だ。
一方、野党は第一党の民主党ですら議席獲得目標を明確に示せていない状況。党勢は回復していない上、選挙準備の遅れは否めない。民主党の枝野幸男幹事長は19日、「立候補する全ての仲間を当選させたい。あえて言えばそれが目標だ。与党の都合で行われる選挙だから、1議席でも増やせれば現状よりはいい」と述べ、勝敗ラインや議席獲得目標に言及しなかった。
野党第二党の維新の党は、選挙区の公認候補が全体で70〜80人程度になる見通し。獲得議席目標については、橋下徹共同代表(大阪市長)の立候補が決定すれば大きく変動するとして、定まっていない。
みんなの党に至っては19日、両院議員総会を国会内で開き、28日付で解党することを賛成多数で決定。平成21年8月に結成し、一時は「第三極」として存在感を示したが、5年の歴史に幕を下ろすことになった。