銭湯のルール 知ってる? バイリンガル紙芝居で世界へ
お台場・デックス東京ビーチ内の台場一丁目商店街で13日、紙芝居『Amazing! This is the SENTO rules!』が上演された。銭湯でのルールや文化を伝えるもので、英語と日本語のバイリンガル形式で上演。小さな子どもたちからシニア層まで多くの人の注目を集めた。
「レッツ・ゴー・トゥ・ザ・セントウ!」。駄菓子や懐かしいおもちゃなどを売る店が軒を連ね、古き良き時代の東京の雰囲気があふれる台場一丁目商店街に大きな声が響く。集まった子どもや大人たちが見つめる先で行われているのは、紙芝居。
『Amazing! This is the SENTO rules!』と題された演目が、英語と日本語を交えた語りで上演されている。
ジョージ君が中学生世界陸上に出場するために日本を訪れ、同じ大会に出場するカツトシ君と一緒に銭湯に行くというお話。銭湯の建物に入るときには靴を脱いで靴箱に入れること、脱衣場で服を脱ぐこと、湯船に入る前に体を洗うこと、タオルを浴槽に浸けないことなど、銭湯を利用するときのルールをクイズにしながら学びつつ、「銭湯を出る前にはいつもこれを飲むことにしてる」といったセリフとともにフルーツ牛乳といった銭湯ならではのカルチャーも含めて伝える。冒頭で「銭湯を知らない」と答えた小さな子どもたちも興味津々な様子だ。
紙芝居を上演するのは、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致運動にも紙芝居で参加した渋谷画劇団の面々。帽子がトレードマークのヤムちゃん、かみはる、そして、ひろくんがよく通る声、表情の変化やボディーランゲージを総動員して楽しませる。最初こそ控えめに見ていた観客も、盛り上げ上手な紙芝居師たちに乗せられて、次第に問いかけに応じたり手を上げてクイズに答えたりして、コミュニケーションが活発に。終盤になると会場は温かい笑顔であふれた。鑑賞した小学生は「すごく面白かった! 銭湯のことをあまり知らなかったけど、優しい言葉で教えてもらったので分かりやすかったです。銭湯に行ってみたいと思いました」と、目を輝かせた。
「日本のお客さんが多かったので、急きょ、英語と日本語をミックスしてバイリンガルで上演しましたが、楽しんでいただけたようで良かったです。ただ、今日のやり取りのなかで、小さいお子さんたちが銭湯そのものを知らないということも分かったので、まだ改善点があるなと思っています」(ヤムちゃん)
紙芝居『Amazing! This is the SENTO rules!』は、日本文化への関心が高まるなかで、銭湯にもっと注目してほしい、銭湯文化をより広めたいという思いのもと、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合(浴場組合)と株式会社漫画家学会・渋谷画劇団がタッグを組み、3カ月をかけて制作、英語版のほか、中国語版も用意している。今後は各地で上演を行うほか、浴場組合のホームページ(http://www.1010.or.jp/)を介して動画配信もしていく予定だという。
訪日外国人が過去最大に達するなど外国からの観光客が増加するなかで「銭湯にいらっしゃる外国からのお客様が増えている」(浴場組合)。その人気は、旅行会社が団体ツアーを組まれているほどだという。2020年の東京でのオリンピック・パラリンピック開催に向けて、さらに海外からの観光客の増加が見込まれる。「銭湯だってクールジャパン」(浴場組合)。日本文化は“カワイイ”だけじゃないという動きがますます広がっていきそうだ。