江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 木乃伊取り(みいらとり)

 店の金を持ったまま出かけた若旦那が家に帰ってこなくなり、もう4日目。心配した大旦那が調べると、吉原の角海老楼で、居続け遊びをしていることが判明。怒った大旦那は、番頭の佐兵衛に若旦那を迎えに行くように命じる。「必ず連れて戻ります」と言って出て行った佐兵衛だが、行ったきり5日も戻らない。大旦那は「番頭はせがれと一緒になって遊んでいるに違いない。もう勘当だ!」とご立腹。一人息子を勘当されたらたまらないと、おかみさんは「番頭なんかを行かせるからダメなんですよ。ここは鳶頭はどうだろう。花街のこともよく知っているし、その辺の対応も心得ているだろうから」と提案。それはいいと、鳶頭を迎えにやらせた。しかし、行ったきりこちらも7日帰ってこない。「どいつもこいつもミイラ取りがミイラになりやがって!今度こそ勘当だ!」と大旦那が怒り心頭でいると飯炊きの清蔵が、その役をかってでた。しかし大旦那は「お前は飯を焦がさないように、しっかり炊いてくれていればいいんだ。余計なことはしなくていい」と断ると「あんだ?仮にだで、この家に泥棒が入って、旦那さんが殺されかかるとする。んだ時、飯だけ炊いてりゃいいって言ってられっか? 泥棒と一騎打ちして、旦那さんを助けるのが人の道ってもんだべさ」。これには大旦那、反論できずに、結局清蔵を使いに出すことに。「首に縄おっかけても連れて帰るだで」と家を出た。角海老楼に着いた清蔵、ものすごい迫力で上がり込み、座敷に乱入。あまりの剣幕としつこさに、若旦那とうとう「酒がまずくなる。暇を出すからとっとと帰れ!」と逆ギレ。しかし清蔵も引っ込まない「暇を出されたら、もう主人でも使用人でもない。他人なら腕ずくでしょっぴくまで。覚悟をぶて!」と腕をまくった。腕ずくではかなわないと観念した若旦那はとうとう降参。最後に1杯飲んで陽気に帰ろうということで、清蔵にも酒をすすめた。1杯、また1杯と飲んでいくうちに気持ちが良くなってきた清蔵に、花魁がお酌をする。「こだな、あまっ子と野良こいてるだでな、帰れっちゅう方が無理かも知れねえ」「おい清蔵、そろそろ帰るぞ」と若旦那。「あんだ? 帰るなら、帰ればいい。オラはもう2、3日ここにいるだ」
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