大谷ノブ彦 カタリマス!(裏)第24回 ラジオ界のボケになりたい。
年末年始も『キキマス!』はいつも通りに放送していたわけですが、一般的には今週から仕事始めなんでしょうか。この「カタリマス!」の連載も新しい年になって初めてですね。担当から「……ありがちですけど、新年の抱負なんかを…」というリクエストがありましたから、それから始めたいと思います。
今年の抱負は、ラジオでボケになる、それを目指すってことです。
年末にマキタスポーツくんと話してたんです。長渕剛ってスゲーなって。長渕さんって、気がつけば“ツッコまれる人”、“ボケ”になってるって思いませんか。いろんなところでいろんな人からツッコまれて、それがすげぇ面白いんです。
長渕さんって時代によって変わる人です。いい兄ちゃん像をやってた時期、フォーク期があって、石井聰亙監督の『爆裂都市』とかに影響を受けてるんだろうなっていうマッドマックス期。『HOLD YOUR LAST CHANCE』のバンド期に、チンピラ・やくざ期、その後にはインドかぶれ期っていうのもあって、今はブルース・スプリングスティーン期ですよ。革ジャン着て体を鍛え、取材する前にもトレーニングをする。それってすごい面白いじゃないですか。全部突っ込ませるんだから。
今、テレビに出ている人って、みんなツッコミじゃないんだよね。みんなボケなの。お笑いだけじゃなく、スポーツとか、他のジャンルもね。長渕さんもそうでしょう。そういう人たちを見て面白いって思うようになってるんです。僕も年末年始にテレビに出演させていただきましたけど、変な人っていうか、よく分かんない人でしたよね。テレビに出てるのにラジオラジオって言い続けてて。現場では滑ったって思いましたけど、見てて面白かったって言ってくれる人もたくさんいて。それでいいんだって思えました。
だから、ラジオでもそれになりたい。普段からラジオを聞いていただいている人は、何やってるんだ、ふざけたことをしやがってっていう人もいるかもしれないし、マキタスポーツくんが言ってた “通りすがりの正義”を振りかざす人にも出会うだろうし、ツッコミがはいると思います。でも、僕は正しいか間違いかをジャッジするんじゃなく、ほとんどが正しいんだって言える、多様性を評価する人でありたいなって思うんです。もちろん自分のなかで一つか二つぐらい提示できる何かは持っていたいと思うけどね。
僕は裸になりたい。まっさらになって、外圧によって変化していくことを楽しみたいんです。手始めに僕は、家の本、CDを捨てようと思ってます。