サッカー日本代表のアギーレ監督と契約解除
日本サッカー協会は3日夕、会見を開き日本代表のハビエル・アギーレ監督との契約を解除したことを発表した。会見には大仁邦彌会長と三好豊法務委員長が出席した。
アギーレ監督については昨年9月にスペインのスポーツ紙が2011年5月のリーグ戦最終節サラゴサvsレバンテ戦での八百長疑惑を報道。12月にはスペインの検察当局が監督ら40人以上の関係者を告発。監督は疑惑を否定するものの、裁判所が告発を受理したという報道も流れるなど混乱を極めていた。
1月31日にスペインのバレンシア予審裁判所がアギーレ監督の八百長疑惑に関する検察側の告発を受理。協会は2日夜にアギーレ監督の代理人弁護士から受理の事実を確認。3日午前、田嶋幸三副会長、原博実専務理事ら協会幹部が集まり対応を検討。契約解除という結論に至った。
大仁会長は会見で「契約解除の第一の理由は、代表チームの活動の影響、W杯予選の影響のリスクを避けたいということ。八百長に関与したという事実は確認されていないわけですから、それが理由ではない。この問題はアギーレ監督の名誉にかかわる重大な問題で、アギーレ監督には無実の証明に全力を尽くしてほしいと考えている」と契約解除の理由が「八百長に関与した疑い」にあるのではないことを強調した。
アギーレ監督にはこの日、大仁会長が電話で直接伝え、監督は「やむをえない」と答えたという。またアギーレ監督にはアジアカップの報告に来た段階で「受理されたら非常に厳しい状況になる、理解してほしい」と伝えていたという。
アギーレ監督は就任当初は大胆な選手選考と起用で賛否両論が飛び交った。しかしアジアカップを見据えた11月のホンジュラス戦からは、遠藤、今野といったブラジルワールドカップの主力だった面々を起用。2連勝で態勢を整えた。
アジアカップはその勢いのままにグループリーグを3連勝で1位突破。しかし準々決勝のUAE戦では中2日という日程もあり、圧倒的に主導権を握りながらもPK戦に持ち込まれ、敗れ去った。
徐々にアギーレ流のサッカーが選手たちに浸透してきただけに、このタイミングでの監督交代の与える影響は計り知れない。
焦点の後任監督について大仁会長は「万が一に備えて情報は集めておくように技術委員長に伝えている」と語るが、この時期は世界各国でリーグ戦が進み、来年の欧州選手権の予選でも各国代表がしのぎを削っており、おいそれとはいかない状況。
メディアでは2007年から5年間、鹿島の指揮を執りJリーグ3連覇も果たしたオズワルド・オリヴェイラ氏、Jリーグでプレーし名古屋で監督を務めたドラガン・ストイコヴィッチ氏、C大阪の監督を務め、代表の中心選手である香川、清武、乾らを育てたレヴィー・クルピ氏、1997年に磐田を指揮した前ブラジル代表監督のルイス・フェリペ・スコラリ氏といった日本に縁のある人物の名前があがっている。
また日本人監督を待望する声もあり、G大阪の長谷川健太監督、広島の森保一監督、名古屋の西野朗監督らの名をあげる向きもあるが、技術委の霜田委員長は「来月開幕するJリーグの監督には声をかけない」と話しており、こちらの可能性は低い。
どちらにしても6月から始まるロシアワールドカップのアジア予選を前に3月27日(チュニジア戦)、31日(ウズベキスタン戦)に組まれた国際親善試合までには新監督が決まっているのが望ましい。しかし大仁会長は「間に合わせ人事はしたくない」という考えを持っていることから、3月の親善試合は代行監督で臨むこともやむなしの状況だ。