ラグビーの魅力を存分に見せつけた日本代表

 ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会に出場した日本代表は初戦で南アフリカに歴史的勝利を収めたものの、B組の3位に終わり準々決勝進出はならなかった。予選で3勝をあげながら敗退したのは日本が初めて。まさに“史上最強の敗者”だった。

 日本が入ったB組は第3戦を終えて、日本、南アフリカ、スコットランドの3チームが2勝1敗に並ぶ混戦模様。しかしボーナスポイントを獲得できていない日本がベスト8に残るのは厳しい状況。

 南アフリカは7日(日本時間8日)に米国に64−0の大差で勝利を収め、3勝1敗の勝ち点16で一足先に準々決勝に駒を進めた。スコットランドは10日(同10日)にサモアと対戦。

 日本はスコットランドが負けるか条件付きでの引き分けで自力での準々決勝進出の可能性が残る。

 ここまで1勝2敗と予選敗退が決まっているサモアだけにモチベーションの低下が懸念された。しかしサモアは26−23とリードを奪い前半を折り返す。日本中がサモアの勝利を願った後半、スコットランドが11分にグレイグ・レイドロのPGで同点に追いつくと、13分にはまたもレイドロのPGで逆転に成功する。一時は36−26と離されたサモアだったが、37分、モトゥ・マトゥがトライ、パトリック・ファアパレがコンバージョンゴールを決め33−36まで追い上げ、終了間際も驚異的な粘りを見せたが、わずかに及ばなかった。

 日本代表は13日に帰国。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は都内で会見し、「新しいラグビーの歴史を作った」と胸を張った。そして「(勝因は)ハードワークといわれるが、それ以上に、精神的な勇気を持って戦い、日本の戦い方を遂行する勇気を持って戦った」と分析。日本代表が世界に与えたインパクトを「この(日本代表の)ジャージーを着てプレーすると、日本はどういう戦いをするのか、世界の人たちは分かっているでしょう」という表現で説明した。

 主将のリーチ・マイケルは「このチームのキャプテンとして本当に誇りに思います。日本のラグビーを、もっともっと盛り上げていきたいと思います」と話した。

 五郎丸歩は「非常に楽しく、最高の時間でした。その時間を日本の皆さん、世界の皆さんと共有できたことをうれしく思います」と大会を振り返った。

ベスト8ならずも最後まで全力プレーで3勝目

 日本の最終戦となった米国戦(11日)。先制を許したものの、前半7分、ラックから素早く左に展開しWTB松島幸太朗が左中間にトライ。五郎丸歩がコンバージョンゴールを決め7−3とすぐに逆転。24分に米国のタクズワ・ングウェニアのトライで7−8とリードを許したが直後の前半28分にはモールから藤田慶和のトライと五郎丸のコンバージョンゴール、33分の五郎丸のペナルティゴールで17−8で折り返す。

 後半も五郎丸のPG、22分のアマナキ・レレィ・マフィのトライで突き放す。31分に米国のクリス・ワイルズにトライを許すが、危なげない試合運びで28−18で有終の美を飾った。