【2015年重大ニュース】 安心してください読めばだいたい分かります その2

 年末恒例のTOKYO HEADLINE編集部が独断と偏見で選ぶ重大ニュース。今年はどうにも落としどころがうやむやというか結末が腑に落ちないというか、すっきりしない事件や出来事が多かった印象。そして著名人のやらかしが多かった昨年に比べ、素人の台頭が目立った一年でした。

どこに原因が…呪われた?東京五輪

 本来スポーツの話題は明るくあってほしいし、オリンピックという最高峰の大会においてはやると決まった以上は成功させるべく力を合わせたいところなのだが、どうにもその気を削ぐ出来事ばかりの今年。

 まずは新国立競技場の建設問題。当初案のイギリスのザハ・ハディド氏の設計案では建設費に当初予算の1300億円を軽く超える2520億円がかかるという話に。それでも有識者会議は7月7日に、予定通り10月着工に向けて施設内容やスケジュールなどを承認。しかし世論のあまりの逆風に安倍首相は7月17日に計画の白紙化と、新国立でのラグビーW杯の開催断念を表明。9月1日から新デザイン案を公募。12月22日に隈研吾氏の案が選ばれた。

 もうひとつはエンブレム問題。7月24日にアートディレクターの佐野研二郎氏の作品が採用されたことが発表されたのだが、7月末にこのエンブレムと、ベルギーにあるリエージュ劇場のロゴやスペインのデザイン事務所が手掛けた作品が似ているということがネット上で指摘されて以降、佐野氏の過去の作品のパクリ疑惑が次から次へと浮上。佐野氏がデザインを監修した、サントリーの販促キャンペーンの景品であるトートバッグは8月13日に30種類のうち8種類を取り下げた。

 その間も「問題ない」という態度を取り続けていた組織委だったが、ついに9月1日に会見を開き、佐野氏がデザインしたエンブレムの使用中止を決定したことを発表した。

平和ってどういう状態!? 終わらないテロと空爆

 2015年はいたましいテロのニュースが途切れることがなかった。

 1月7日にフランスの風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の本社がイスラム過激派の男2人により襲撃され12人が死亡するというテロが発生。
 1月20日にはISIS(イスラム国)が昨年から拘束している湯川遙菜さんとフリージャーナリストの後藤健二さんの動画をインターネット上に公開し身代金を要求。1月24日には湯川さんが、2月1日には後藤さんが殺害された映像がネット上に公開された。

 8月17日にはタイ・バンコクの繁華街で爆発テロが発生。20人が死亡。この事件に関しては犯行声明が出ていない。
 10月31日にはエジプト北東部シナイ半島でロシアのコガルイム航空のエアバスA321旅客機が墜落。224人が死亡した。

 そして11月13日にはフランスの首都パリの6カ所で銃撃・自爆テロが同時発生。130人が死亡した。イスラム国が犯行声明を出した。
 ロシア旅客機墜落事故では「イスラム国」傘下の武装勢力が犯行声明を出していたが、プーチン大統領は11月17日にテロと断定。イスラム国への空爆回数を倍増させた。

大塚家具で骨肉の争い

 創業者と2代目以降がもめることはよくある。

 家具大手の大塚家具でかねてからくすぶっていた創業者の大塚勝久氏と、現在社長を務める長女の久美子氏の間の確執が大きな話題を集めた。業績の悪化から勝久氏の手法を大幅に転換した久美子氏に対し、事実上の取締役解任動議を提案した勝久氏。3月の株主総会では創業者一族によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)が行われ、久美子氏側の会社提案が過半を占め、勝久氏の社長復帰と久美子氏の社長退任は否決された。勝久氏は会長を退いた。これで一件落着といかないのが骨肉の争い。7月には久美子氏が実質管理している一族の資産管理会社「ききょう企画」に関する訴訟で、舞台を法廷に移しバトルが再開している。

野球選手が野球賭博

 日本のプロ野球ではかつて「黒い霧事件」という八百長事件があった。以来、日本球界は反社会勢力との接触についてはかなりナーバスになっていた、はずだった。10月5日、巨人の福田聡志投手に野球賭博への関与が発覚。10月21日には日本野球機構(NPB)の調査委員会の調査で、笠原将生投、松本竜也の2投手も野球賭博へ関与していたことが判明した。

 笠原、松本については巨人の内部調査では発見できず、その甘さも指摘された。
 その後、この賭博事件をめぐって球界OBの名前が取りざたされるなど大きな波紋を呼んだ。NPBは11月10日、3投手に無期の失格処分を決定。巨人は同日、3選手との契約を解除した。

安保法制をめぐる攻防

 2014年7月1日に安倍政権は従来の憲法解釈を変更して限定的に集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定。今年5月14日には集団的自衛権の行使容認を含む新たな安全保障法制の関連法案を閣議決定し、国会に法案提出した。

 同法案については提出前からさまざまな議論がなされた。6月4日に行われた衆院憲法審査会の参考人質疑では早稲田大の長谷部恭男、笹田栄司両教授と慶応大の小林節名誉教授の3人が口をそろえて「集団的自衛権行使は違憲」と発言するなど混迷を極めた。しかし土壇場になって、廃案を狙う民主党と維新の党、共産党、社民党、生活の党と山本太郎となかまたちの野党5党の激しい抵抗にあったものの、9月19日未明に成立した。

 国会の外に目を向けると、安倍首相の政権運営や憲法観に対して危機感を覚えた学生らが結成した「自由と民主主義のための学生緊急行動(SEALDs)」ら市民団体が台頭。国会前で連日デモを繰り広げ、8月30日に行われたデモでは約12万人が集まった(警察発表は3万〜3万3000人)。

 SEALDsの創設メンバーの一人である奥田愛基さんは9月15日、参議院の安全保障関連法案に関する中央公聴会に出席。メディアでも積極的に発言するなど反安保法制のアイコン的存在となった。12月1日に発表された「新語・流行語大賞」の年間大賞で「SEALDs」がトップテン入りするほど。

 SEALDsは12月20日、他の4つの市民団体とともに来年夏の参院選に向け、安全保障関連法廃止を訴える野党統一候補を支援する「安全保障法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を結成した。

どうしようもない…

 今年もどうしようもない事件が続発した。まずは1月に起こった三鷹市の「つまようじ少年」。スーパーの菓子につまようじを入れる様子、コンビニで自分で持ち込んだ飲料を万引きしたように見せかける様子などを撮影した動画をユーチューブに投稿し悦に入っていた19歳の少年が偽計業務妨害と建造物侵入の疑いで逮捕され4月に中等少年院に送致された。5月に小型無線機「ドローン」を飛ばし長野県善光寺境内に墜落させ、永田町の国会議事堂近くで飛ばそうとする騒ぎを起こし、三社祭でもドローンを飛ばそうとするなどした15歳の少年が逮捕された。

 政治の世界でも首をひねりたくなるような出来事が頻発。
 3月には日本維新の会の上西小百合衆院議員が体調不良で衆議院本会議を欠席していながら翌日に知人男性と旅行に出かけていたことが報道される。維新の党と大阪維新の会は4月4日に上西氏を除名した。上西氏は8月に“フォト自叙伝”なるものを出版。

 当時、自民党所属だった武藤貴也衆議院議員。まず7月にはツイッターでSEALDsを批判して炎上。8月には週刊文春に未公開株の購入をめぐる金銭トラブルが報じられ説明責任を果たさぬまま自民党を離党。直後にはやはり週刊文春にゲイ向けの出会い系サイトで知り合った19歳の男性を買春していたというスクープを報じられる。

 いけないことなのだが、ついつい笑ってしまったのが11月に発覚した通称「側溝男」。神戸で盗撮目的で道路の側溝内に寝そべり、女性のスカートの中をのぞいた男が兵庫県迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。実は男は同じ容疑で平成25年にも逮捕されており、そのときは「生まれ変わったら道になりたい」と供述していたという。男の母親が言うには「性的な興味より側溝への興味が先」とのこと。