12・29 RIZIN 青木が桜庭に完勝 そして「桜庭さん、引退しないでください」
年末に復活した格闘技イベント「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYS」の「SARABAの宴」が29日、さいたまスーパーアリーナで開催された。メーンで行われた新旧日本人エース対決「桜庭和志vs青木真也」は1R5分56秒、セコンドのタオル投入によるTKOで青木が勝利を収めた。試合は開始早々、桜庭がハイキックを放つが、それをガードした青木がタックルで組み付きテイクダウンさせると、サイドポジションからマウントと流れるような動きを見せる。ここまで開始1分。あとは上になった青木がパウンドと鉄ついで桜庭を削り続ける展開に。大きなパンチではないものの、桜庭の腕を捕獲しガードのすき間から的確にパンチを当てる。ガードに隠れて観客には見えにくかったが、桜庭の顔は腫れ上がり出血。それでも最後まで脱出しようと桜庭が動き続けたため、レフェリーも止めるに止められない状態となったが、ついにセコンドがタオルを投げ入れた。
試合が決するや青木は桜庭サイドのセコンドに「なぜもっと早く止めないんだ!」とアピールした。
桜庭は立ち上がると青木となにやら会話を交わし、青木の手を挙げて勝利を称える。号泣した青木はマイクを握ると「桜庭さん本当にありがとうございました。まだ僕、桜庭さんの代わりになれないです。だからまだ桜庭さんの試合を見たいです。引退しないでください。また今度グラップリングでお願いします」と桜庭への思いを口にした。そして返す刀でRIZINに対して「社長、俺、このリングでまだやることあるよな。このリングで青木対五味やらなきゃダメだよな? 来年、青木対五味このリングでお願いします」とアピールした。
試合後の会見では桜庭について「試合をする前は怖かった。昨日も桜庭選手の昔の映像を見て、コンディションのいい時の動きをイメージしてリングで対面したが、試合ではあの内容になった。まだ桜庭さんは楽しんでるなと思った。相手ののセコンドに『止めろよ、タオル投げろよ』と、島田さん(ルールディレクター)にも『動かないでしょ』と言ったんです。桜庭さんが『まだだよ』と言うし、気持ちが生きてるんです。日本復活とか言っているけど、“また人を潰して盛り上がるのか”と、そういう気持ちです。気持ちのいい仕事ではないですね。正直うれしくないです。桜庭さんも自分の体を捧げて格闘技を盛り上げてきたと感じるし…。そういうことと対峙してのプロとしての試合だったので思うところはいっぱいあります。一番いい時の桜庭さんを意識したけど、やはり全盛期の桜庭さんじゃなかった。すごく寂しさがあった。これが現実なんですよ……でも、もうちょっと形があるだろうって。あそこまでやらせる必要があるのかってつくづく思います。誰も気持ち良くない。コンテンツとしては素晴らしいかもしれないけど、切なかった。一本取ろうとしてサブミッションにトライすると桜庭さんが(正体に)戻るんです。取らせないから一本取るためには殴るしかない。殴りたけりゃ一本取ればいいだろうって言う人もいるだろうが、格闘技ってそういうもんじゃない。そんな甘いもんじゃない。生半可な選手には伝わらないかもしれないけど、試合終わって(桜庭への)リスペクトが強まった。(リング上で)泣く気はなかったけど、僕も仕事としてやるつもりだったんだけど、対峙した時に(桜庭から)『これが仕事だよ』と言われちゃったんです。分かってやっているんです。それ言われたらもう無理でしょ。みんなこれでいいいのか、とは正直感じました」と話した。
引退しないでほしいと言ったことについては「この負け方をしたら、みんな引退しろと言うじゃない。桜庭さんから格闘技が好きな気持ちが伝わってきたので、まだまだレベルを落としても、グラップリングでも動いてほしい。人生の決断を他人の声で決断してほしくないな、自分で決めてほしいと思いました」とその真意を語った。
また五味隆典戦については「それしかないだろって。10年前の格闘技みたいなこと考えた時に、こういうことやるしかないだろ?という気持ちがある。 今回も最初のプランには上がってただろうし、俺はやる覚悟あるよってことです。みんな見たいだろうし」と話した。