ランナー、東京を走る! TOKYO MARATHON 2016

10回目の東京マラソン 2月28日に号砲! 3万7000人走る

 東京に春の訪れを告げるイベントとなった東京マラソンが28日開催される。フルマラソン、車いすマラソン、10キロコースで約3万7000人が参加。東京都庁をスタートし、都内各所を巡りながらゴールを目指す。トップアスリートを含め、全国各地、さらには国外のランナーが熱視線を送るレース。今年は、リオ五輪男子マラソンの代表を決める選考レースにもなっているため、レース結果には大きな注目を集めそうだ。

銀座を走るランナーたち。2015年大会の様子(写真:AP/アフロ)

 東京マラソン2016は、例年以上の盛り上がりを見せそうだ。スタートから10回目となる記念大会。参加するアスリートも男女ともに国内外から選りすぐりのトップランナーが揃い、白熱のレースが期待されている。

 レースを加熱させる要素のひとつは、今夏行われるリオ五輪男子マラソン代表を決める選考レースになっていること。東京マラソンを含め選考レースはあと2レースのみとなっているため、これまで以上に緊張感のあるレースが展開されそうだ。

 熾烈な代表争いの軸となりそうなのは、今井正人(トヨタ自動車九州)。昨年の東京マラソンで自己最高記録を一気に2時間7分台へとあげ、注目を集めている。それに加えて、チェックしておきたいのが同じく自己ベストで7分台をマークしている藤原新(ミキハウス)、松村康平(三菱日立パワーシステムズ)、コニカミノルタの宇賀地強と山本浩之、佐野広明(Honda)、そして出岐雄大(中国電力)。本大会が初マラソンとなる村山謙太(旭化成)がどのようにレースに絡んでくるかも楽しみだ。

 混迷しているともいえる代表選考だが、いずれも日本マラソン界をけん引するランナー。素晴らしい走りを期待したい。

箱根を沸かせた学生ランナー

 もう一つの見どころは、今年の箱根駅伝を盛り上げた学生ランナーたち。2年連続で任されたエース区間2区で区間賞を獲得した東洋大学の服部勇馬をはじめ、完全優勝を果たした青山学院大学の一色恭志、小椋裕介、下田裕太がエントリー。全員が初めてのフルマラソンになる。

 彼らはもちろん、彼らに注目する人たちの視線の先には、本大会の42.195キロ先のゴールがある。さらに、その先2020年の東京オリンピックもあるだろう。日本の男子マラソンの将来を担うであろう彼らが、どんな走りを見せてくれるのかと多くの期待が寄せられている。それに加えて、初めてフルマラソンを走るという挑戦と経験が、今後彼らをランナーとしてどう成長させるのかもまた、注目しておきたいポイントだ。

ワールドチャンピオンが決まる
 
 外国勢にも注目だ。男子勢では、オファーがひっきりなしのケニアのエマニュエル・ムタイ。同じくケニアからのディクソン・チュンバは、最強といわれるエリウド・キプチョゲと「Abbott World Marathon Majors Series IX」のシリーズチャンピオン争いをしており、この大会の結果にその勝敗が掛かっている。それぞれのランナーが置かれた状況は異なるものの、彼らのキャリアのなかで、本大会は重要な意味をもつ。

 一方、女性陣も外国人選手のパフォーマンスもまた注目。ケニアのエドナ・キプラガトとエチオピアのアベル・ケベデは同シリーズチャンピオンの座をかけ、東京を走る。

国際化する、車いすマラソン

 車いすマラソンは、さらに熱くなる。今大会からレースが国際化、2015年ロンドンマラソン、そして世界選手権で優勝したジョシュア・ジョージ、2015年シカゴマラソンの優勝者クート・フェンリー選手と、国外からもトップ選手が集まる。

 東京マラソン車いすレースディレクターの副島正純氏によれば、「東京マラソンは起伏が少なく、路面も綺麗で好タイムを望めるコース」。副島氏は、本大会で男子の現世界記録であるハインツ・フライ選手(スイス)の1時間20分14秒(大分国際車いすマラソン大会、1999年)を塗り替えたいと意気込んでいる。

 見どころ満載の今年の東京マラソン。160万人が沿道で見守るなかどんなレースが繰り広げられるのだろう。