いま、職場を、仕事を楽しめない人にとって必読の本だと思います
『吉本興業女マネージャー奮闘記「そんなアホな!」』【著者】大谷由里子
女子大を卒業後、吉本興業に入社し、故・横山やすしのマネジャーを務め、宮川大助・花子、若いこずえ、みどりを売り出した伝説のマネジャーの奮闘記。吉本興業といえば、言わずと知れた関西の大手芸能プロダクションで、現在では女性社員も多くかかえる大企業だが、1985年、著者が入社した時は、バリバリの男社会。右も左も分からないまま入社した著者は、初めて経験する事、信じられないトラブルに直面してもそれを笑顔とガッツで、そして時々涙を流しながら乗り越える。失敗も数多くやらかすが、その失敗を帳消しにするぐらいの仕事をやってのける。
しかし、ついに衝撃の事態が。べろべろに酔っぱらって仕事をしていたやすしを著者はセットの後ろに連れ込み殴ってしまったのだ。その後どうなったのか…は同書を読んでもらうとして、業界素人の女性がそこまでやったのは、仕事に対する責任感だけではない。仕事を、会社を、そして芸人を愛していたのだ。もちろん横山やすしも。手が付けられないほどの人物であったが、その才能を、そして根底にあるチャーミングな部分をとても好きだったのだと思う。でなければ、酒のせいで訳が分からなくなっている状態のあんな破天荒な人を、殴ることはできない。若い女性マネジャーの奮闘記にして、“仕事とは”“働くとは”ということを考えさせられる一冊。
『吉本興業女マネージャー奮闘記「そんなアホな!」』
【著者】大谷由里子
【定価】本体800円(税別)
【発行】立東舎