吉高由里子 この夏『レディエント・バーミン Radiant Vermin』で 2度目の舞台出演
昨年秋に初舞台を踏んだ女優・吉高由里子がこの夏、早くも2本目の舞台に挑む。その作品は英劇作家フィリップ・リドリー作、演出・白井晃による『レディエント・バーミン Radiant Vermin』。高橋一生、キムラ緑子との刺激的な三人芝居だ。
ヘアメイク: RYO スタイリスト:岡部美穂 衣装協力:ワンピース ¥16,000(ジャーナル スタンダード/ジャーナル スタンダード 表参道) 〈問い合わせ先〉ジャーナル スタンダード 表参道(03-4618-7958) 撮影:蔦野裕
約2年くらい休んでいたので(笑)、そろそろ攻めに転じなきゃ。復習ばかりの人生なんて嫌。経験したことをまたなぞるような仕事の仕方よりも、ずっと挑戦していきたいんです
2014年にNHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインを演じて以降、しばらく休んでいた吉高だが、昨秋、舞台で復帰。もともと舞台との接点は?
「昔は“知らない”と言っていいほど見ていませんでした。学校行事くらいでしか自分から足を運ぶことはほとんどありませんでした。でも2年前の朝ドラで共演した方々の中に舞台を経験されている方がたくさんいて、舞台の話を聞くことが増えていくうちに、実際に見に行く機会も増えていきました。“ちょっと興味を持ち始めた”という話をマネジャーさんにしたら月に2回くらいのペースでみんなで舞台を見に行く会ができて、そんな流れから昨年の『大逆走』の出演に至る、という感じです」
月2回の観劇。なかなかのハイペース。それは自分が舞台に立つことを念頭に置いてのもの?
「舞台は絶対やりたくない、“できません”というスタンスだったのが、“機会があったらやってみようかな”というように考え方が変わってきていました。“自分がやりたいから見に行く”というわけではなくて、今後舞台をやるとなったときに、どういう作品が好きなのか、どの演出家の方とご一緒したいのかとか、どれくらいの大きさの劇場でやりたいのかといったことに答えられる知識がなかったので積極的に見に行って勉強しに行くという感じでした」
「できません」というのは?
「怖かったんです。できない、できるわけがないって」
人前で演技をすることが?
「とにかく、人前に出るというのが苦手。映画の舞台挨拶なんかでも震えるくらい緊張するんです。とにかく人前で喋るとなると、自分の着地点が見つからなくなっちゃうんです。喋っている最中に、“私何を喋り始めていたっけ?”って分からなくなるくらい、ポーンと飛んじゃうんです。だから舞台でお芝居なんてできるわけがないと思っていて、自分の仕事の中に“舞台”というカテゴリーはないなと思っていました。でも共演者の方々のお話を聞いているうちに興味が沸いてきたんです」
1本終えての感想は?
「分からなかった(笑)。舞台ってものが余計に分からなくなりました。イメージしていたものとは全然違う日々だった。でも映像とやっていること、演じ方なんかは特別違ったことがあったかといえば、そんなにはなかった。ただ稽古というものを初めて経験したり、人前でリアクションを見ながら芝居を続けることは初めてだったので、いい経験になりました。知識だけで逃げ腰になっていたんですが、経験してから“逃げるものは逃げる、挑むものは挑む”というように仕分けしていけたらなと思えるようになりました。作品と出会うタイミングって、奇跡的なものだと思うんです。その年齢でしかできない役っていっぱいあるし、スケジュールが合わなかったらできないものだし。悔いが残らないように仕事をしていきたいので、そのタイミングで出会った仕事に対しては前向きに考えていきたいと思いました」
前作で、やろうと思っていて、もしくはやれると思っていたんだけどできなかったこと、意外とやれちゃったことなんかは?
「ずっと声の出し方を心配されていたんですが、“届くじゃん”って(笑)。発声の練習を一からやって、“いや~どうかな”ってずっと懸念されていたんですけど、“いや、届いてるし。聞こえてるし。大丈夫やん”ってなりましたね(笑)。できなかったことは…。その役を好きになれたかなれなかったかでいうと、好きになれなかったというのができなかった部分じゃないかなって思います」
去年の10月から今年の7月。ずいぶん短い期間での2本目。
「まさかの展開です。映画やドラマで再始動していくのかなって思っていました。そうしたら、すっとこの作品のお話を頂いて。舞台のスケジュールなんて2年前くらいから決まっている、っていう話をよく聞いていたので、こんなにポンポンって決まるの?って思いました。『大逆走』のときもそうでしたが、すごくスコンスコン!と決まっていったな、と思います」
昨年2月に作・フィリップ・リドリー×演出・白井晃という今回と同じ座組である『マーキュリー・ファー』を見て、感銘を受けたという。やはりそういったところが出演の大きな決め手となった?
「影響は大きいです。白井さんのことはすごく尊敬しているし、あの作品はすごく好き。だから自分が関わったらどうなるんだろうということは考えました。いいほうに転がったらいいけど、足を引っ張ってしまうかもしれない。期待されるのもすごいプレッシャーというか緊張しちゃう。期待に応えられなかったらすごく悲しくなると思うし、といった不安があって“う~ん、どうしよう…”って考えてしまったんですけど、“この作品は絶対に面白くなる”と思っている人がすごく多いし、もし私がこの役をやらなくて“他の人がやっているのを見たら多分悔しく思う”ということを言われて、“そうか”って踏ん切りがつきました。それに前の舞台が終わってから8カ月くらい休んでいて、もう充電ばかりしている場合じゃないし、約2年くらい休んでるんじゃない?ってくらい休んでいたので(笑)。もう逃げ切ったでしょ、みたいな感じだったので、攻めに転じなきゃなって思って(笑)。攻めというか、ずっと挑戦していくしかないと思うんです。復習ばかりの人生なんて嫌。経験したことをまたなぞるような仕事の仕方よりも、ずっと挑戦していきたいんです」
それにしても三人芝居。いきなりすごい高いハードル。
「そうなんです。2回目にして三人芝居というのが一番懸念していたところです。初挑戦が13人くらいいる群像劇で、次が3人? しかも内容も真逆のテイスト。やり方が無茶苦茶!と思ったんですが、改めて“私、無茶苦茶に生きているんだな”と思いました(笑)。大切に思う分、不安もありますが、楽しみでもある。この間、KAAT(神奈川芸術劇場)に白井さんが演出されていた『夢の劇 -ドリーム・プレイ-』を見に行ったら、おもちゃ箱の蓋を開いたような世界観がすごく綺麗で魅了されて、次はどうやって演出してくださるんだろう、って今回の作品がより楽しみになりました。」
稽古はまだ先だが、台本を読んでの感想は?
「ゾクゾクしました。私が演じるジルという役は、人間の欲深さがにじみ出てきたと思ったら、すぐにむき出しになっていって、もっともっととエスカレートしていく。自分がやってきたことのない役だったので、楽しみになりました」
ジル的なところは自分には?
「まだなんにも見つからないですね。稽古も始まっていないので。でもすごく興味がある役です」
かなり難しい作品のようにも思えるが、結構すんなり読めた?
「一生さんと私が演じるオリーとジルという夫婦は誰しもがちょっとは持っている部分が散りばめられている2人だと思うので、全く分からない話でもないと思います。いろんな要素があるかもしれないけど、ひとつのテーマをずっとたどっていくので、見ている方を置いてきぼりにすることはないと思います」
終盤のシーンはものすごく大変になりそう。
「私もあそこはかなり難しいなって思っています。でも解放されていく2人の姿が描かれる重要なシーンですよね。誰しもが持っている狂っている部分を常識で隠しているけど、壊れていくとああいうところに行き着くのかもしれないですね」
2014年にNHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインを演じて以降、しばらく休んでいた吉高だが、昨秋、舞台で復帰。もともと舞台との接点は?
「昔は“知らない”と言っていいほど見ていませんでした。学校行事くらいでしか自分から足を運ぶことはほとんどありませんでした。でも2年前の朝ドラで共演した方々の中に舞台を経験されている方がたくさんいて、舞台の話を聞くことが増えていくうちに、実際に見に行く機会も増えていきました。“ちょっと興味を持ち始めた”という話をマネジャーさんにしたら月に2回くらいのペースでみんなで舞台を見に行く会ができて、そんな流れから昨年の『大逆走』の出演に至る、という感じです」
月2回の観劇。なかなかのハイペース。それは自分が舞台に立つことを念頭に置いてのもの?
「舞台は絶対やりたくない、“できません”というスタンスだったのが、“機会があったらやってみようかな”というように考え方が変わってきていました。“自分がやりたいから見に行く”というわけではなくて、今後舞台をやるとなったときに、どういう作品が好きなのか、どの演出家の方とご一緒したいのかとか、どれくらいの大きさの劇場でやりたいのかといったことに答えられる知識がなかったので積極的に見に行って勉強しに行くという感じでした」
「できません」というのは?
「怖かったんです。できない、できるわけがないって」
人前で演技をすることが?
「とにかく、人前に出るというのが苦手。映画の舞台挨拶なんかでも震えるくらい緊張するんです。とにかく人前で喋るとなると、自分の着地点が見つからなくなっちゃうんです。喋っている最中に、“私何を喋り始めていたっけ?”って分からなくなるくらい、ポーンと飛んじゃうんです。だから舞台でお芝居なんてできるわけがないと思っていて、自分の仕事の中に“舞台”というカテゴリーはないなと思っていました。でも共演者の方々のお話を聞いているうちに興味が沸いてきたんです」
1本終えての感想は?
「分からなかった(笑)。舞台ってものが余計に分からなくなりました。イメージしていたものとは全然違う日々だった。でも映像とやっていること、演じ方なんかは特別違ったことがあったかといえば、そんなにはなかった。ただ稽古というものを初めて経験したり、人前でリアクションを見ながら芝居を続けることは初めてだったので、いい経験になりました。知識だけで逃げ腰になっていたんですが、経験してから“逃げるものは逃げる、挑むものは挑む”というように仕分けしていけたらなと思えるようになりました。作品と出会うタイミングって、奇跡的なものだと思うんです。その年齢でしかできない役っていっぱいあるし、スケジュールが合わなかったらできないものだし。悔いが残らないように仕事をしていきたいので、そのタイミングで出会った仕事に対しては前向きに考えていきたいと思いました」
前作で、やろうと思っていて、もしくはやれると思っていたんだけどできなかったこと、意外とやれちゃったことなんかは?
「ずっと声の出し方を心配されていたんですが、“届くじゃん”って(笑)。発声の練習を一からやって、“いや~どうかな”ってずっと懸念されていたんですけど、“いや、届いてるし。聞こえてるし。大丈夫やん”ってなりましたね(笑)。できなかったことは…。その役を好きになれたかなれなかったかでいうと、好きになれなかったというのができなかった部分じゃないかなって思います」
去年の10月から今年の7月。ずいぶん短い期間での2本目。
「まさかの展開です。映画やドラマで再始動していくのかなって思っていました。そうしたら、すっとこの作品のお話を頂いて。舞台のスケジュールなんて2年前くらいから決まっている、っていう話をよく聞いていたので、こんなにポンポンって決まるの?って思いました。『大逆走』のときもそうでしたが、すごくスコンスコン!と決まっていったな、と思います」
昨年2月に作・フィリップ・リドリー×演出・白井晃という今回と同じ座組である『マーキュリー・ファー』を見て、感銘を受けたという。やはりそういったところが出演の大きな決め手となった?
「影響は大きいです。白井さんのことはすごく尊敬しているし、あの作品はすごく好き。だから自分が関わったらどうなるんだろうということは考えました。いいほうに転がったらいいけど、足を引っ張ってしまうかもしれない。期待されるのもすごいプレッシャーというか緊張しちゃう。期待に応えられなかったらすごく悲しくなると思うし、といった不安があって“う~ん、どうしよう…”って考えてしまったんですけど、“この作品は絶対に面白くなる”と思っている人がすごく多いし、もし私がこの役をやらなくて“他の人がやっているのを見たら多分悔しく思う”ということを言われて、“そうか”って踏ん切りがつきました。それに前の舞台が終わってから8カ月くらい休んでいて、もう充電ばかりしている場合じゃないし、約2年くらい休んでるんじゃない?ってくらい休んでいたので(笑)。もう逃げ切ったでしょ、みたいな感じだったので、攻めに転じなきゃなって思って(笑)。攻めというか、ずっと挑戦していくしかないと思うんです。復習ばかりの人生なんて嫌。経験したことをまたなぞるような仕事の仕方よりも、ずっと挑戦していきたいんです」
それにしても三人芝居。いきなりすごい高いハードル。
「そうなんです。2回目にして三人芝居というのが一番懸念していたところです。初挑戦が13人くらいいる群像劇で、次が3人? しかも内容も真逆のテイスト。やり方が無茶苦茶!と思ったんですが、改めて“私、無茶苦茶に生きているんだな”と思いました(笑)。大切に思う分、不安もありますが、楽しみでもある。この間、KAAT(神奈川芸術劇場)に白井さんが演出されていた『夢の劇 -ドリーム・プレイ-』を見に行ったら、おもちゃ箱の蓋を開いたような世界観がすごく綺麗で魅了されて、次はどうやって演出してくださるんだろう、って今回の作品がより楽しみになりました。」
稽古はまだ先だが、台本を読んでの感想は?
「ゾクゾクしました。私が演じるジルという役は、人間の欲深さがにじみ出てきたと思ったら、すぐにむき出しになっていって、もっともっととエスカレートしていく。自分がやってきたことのない役だったので、楽しみになりました」
ジル的なところは自分には?
「まだなんにも見つからないですね。稽古も始まっていないので。でもすごく興味がある役です」
かなり難しい作品のようにも思えるが、結構すんなり読めた?
「一生さんと私が演じるオリーとジルという夫婦は誰しもがちょっとは持っている部分が散りばめられている2人だと思うので、全く分からない話でもないと思います。いろんな要素があるかもしれないけど、ひとつのテーマをずっとたどっていくので、見ている方を置いてきぼりにすることはないと思います」
終盤のシーンはものすごく大変になりそう。
「私もあそこはかなり難しいなって思っています。でも解放されていく2人の姿が描かれる重要なシーンですよね。誰しもが持っている狂っている部分を常識で隠しているけど、壊れていくとああいうところに行き着くのかもしれないですね」