波乱万丈を絵に書いたような人生　木下威征さん（オーナーシェフ）

　料理の道に入ったきっかけがまたすさまじい。

「自慢できることではないし、みなさんに迷惑をかけてしまったんですが、やんちゃなことをしているうちに、警察のお世話になってしまったんです。面会に来てくれたおふくろの姿を見て、これはいけないなと思いました。でもどうしたらいいのか分からない。いつも僕をかばってくれていた先輩が“いろんな本を読みなさい”ということで面会のたびにいろいろな本を差し入れてくれたんですが、たまたまその中に“料理王国”という本がありました。そこにある専門学校のPRが載っていて“君も料理の世界でフランスに留学しないか”といった内容のキャッチが目に飛び込んできて、料理の世界でフランスに留学ができるのかと。僕の中では海外留学なんておぼっちゃまがやることだと思っていたので夢のまた夢。大学に行くような頭もないし、かといってサラリーマンなんて僕には無理だろうと。でも職人の世界は自分の腕で切り開けるような気がして、先輩に“僕、この専門学校に行きたいです”と言ったら、早速願書を取り寄せてくれたんです」

　そして専門学校に進み、料理人の道へ…とそうはトントン拍子には事は進まない。この先の一山も二山もある波乱の人生の模様はポッドキャストでぜひ。

　そんな多くの人との出会いの中で人生を切り開いてきた木下さんの元気の秘訣はやはり…。

「いろんなお客様と出会えて、僕を支えてくれるスタッフがいる。今日みなさんにお会いできたのも一期一会。僕の元気の源は“人”ですね」とのことでした。