国際連携と情報共有がテロから国と命を守る【対談】中山泰秀×潮匡人氏

潮匡人(うしお・まさと)1960年3月、青森県八戸市生まれ。京都市立近衛中学、京都府立鴨沂高校卒業。早稲田大学大学院法学研究科博士前期課程修了。早稲田大学法学部卒業後、航空自衛隊に入隊。第304飛行隊、航空総隊司令部、長官官房勤務等を経て三等空佐で退官。その後、聖学院大学専任講師、防衛庁広報誌編集長、帝京大学准教授などを歴任。現在、拓殖大学日本文化研究所 客員教授。東海大学海洋学部非常勤講師(海洋安全保障論)。公益財団法人国家基本問題研究所客員研究員。NPO法人岡崎研究所特別研究員。民間憲法臨調代表委員ほか、著書、TV出演等多数。

2020年に向けて

 5月に伊勢志摩サミットが行われ、2019年はラグビーのワールドカップ、そして2020年には東京オリンピック・パラリンピックも開催。日本で国際的な行事やイベントが続く。

中山「地政学、地球を俯瞰する外交はとても重要です。ベルリンの壁は崩壊しましたが、朝鮮半島における38度線をにらんだ情勢に変化はありません。国と国の戦いを考えた場合、仮に北朝鮮からミサイルが飛んできたら10分以内に、日本国内すべての地域に着弾します。他方でテロとの戦いの場合、テロは単発で終わると考えている人が多いと思いますが、ISILは“テロ”ではなく、私たちに“戦争”を挑んでいる認識です。攻撃側と受ける側との認識にずれがある。これからの時代の戦争は、戦争らしくない戦争のスタイルで展開されていきます。いかなる形の暴力であれ、戦争は戦争という事実を解釈して、理解し、現実を直視した対応が必要です。自分たちの国をどうやって守るのかを、国民全体で真剣に考えていかなければなりません」

潮「私たち国民が決してテロを他人事だと思ってはいけない。かつてロンドンでサミットが行われたときも、公共交通機関が狙われて実際に犠牲者が出た。しかしそれを教訓にすべての都内の駅やバスに警護体制を敷くのは無理です。しかし、例えば、抜き打ち的に特定のスポットで、そうした手荷物検査を行うということを考えてもいいかと思います。新幹線などについても、毎回すべてのものにやらずとも、抜き打ち的にやるだけで、抑止的な効果は上がるでしょう。そういう時に利用者である我々は、不便だと感じるかも知れませんが、自由や人権を守るためには、避けられないことなんだと、一人一人が認識を改めていかないといけないと思いますね」