【7月10日参院選投開票】キーワードで見る参院選
第24回参議院議員選挙は6月22日に公示され、7月10日に投開票される。
3年前の参院選は「ねじれ国会」の解消がひとつの焦点となっていたが、与党の自公が合わせて32議席を増やし、ねじれを解消。その余勢をかって2014年に行われた衆議院議員選挙でも自公合わせて議席数の3分の2以上を維持。
政権基盤が安定したことで、アベノミクスをはじめとしたさまざまな政策がスピーディーに遂行された。
そんな中で迎える今回の参院選のテーマやキーワードをTOKYO HEADLINE編集部が独自の視点で解説する。
伊勢志摩サミット開催
米大統領が初の広島訪問
2016年の政治において一番のトピックスは「主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)」(5月26〜27日)にほかならない。
初日は「世界経済」について議論され、2日目は気候変動・エネルギー問題を協議した。
世界経済に関しては先進7カ国(G7)が世界経済が大きな「リスク」に瀕しているとの認識で一致。議長国として討議をリードした安倍晋三首相は「危機」という強い言葉で世界経済に対する厳しい認識を示してG7首脳をまとめ上げた。
また「政治・外交」に関する討議で、G7首脳は、中国が覇権主義的な行動を強めている東シナ海・南シナ海問題について「力による現状変更」に反対し、明確で厳しい姿勢で臨むことで一致した。
そして27日夕にはオバマ米大統領が広島市の平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花。米国の現職大統領として初めてとなる歴史的な被爆地訪問を実現した。
オバマ氏の口から謝罪の言葉こそなかったものの、慰霊碑前での演説で大戦の全犠牲者を追悼する考えを示し、核兵器の拡散防止の取り組みが必要との認識を示した。オバマ氏は献花に先立ち原爆資料館を視察。芳名録に「私たちは戦争の激しい苦しみを体験してきた。ともに平和を広め、『核兵器なき世界』を追求する勇気を持ちたい」と記した。
中国・北朝鮮の脅威拡大
憲法改正議論スタートへ
昨年、大きな話題となった「安全保障関連法」は今年3月29日に施行された。
与党は中国や北朝鮮が軍事的緊張を高めていることを挙げて「抑止力」としての必要性を強調する。
この話題に隣接する「憲法改正」については、安倍首相は先の通常国会で「憲法に指一本触れてはならないという空気を醸成し、思考停止に陥ることはあってはならない」と民進党ら改憲に反対の勢力に議論のテーブルに乗ることを呼び掛けているが、果たして…。
アベノミクスで経済指標
上昇。脱デフレへ全力!!
アベノミクスにおいては円高が是正され株価は上昇、失業率の改善・求人倍率の上昇など雇用が回復、企業収益の増加などさまざまな成果をあげた。
一方で、安倍首相は伊勢志摩サミットで「世界経済は平成20年のリーマン・ショック前の状況に似ており、“危機”に陥るリスクがある」と表明。6月1日に来年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを平成31年10月まで2年半延期することを正式に発表した。デフレからの脱出に全力を上げている。
1人区
選挙において改選数が「1」の選挙区。今回の参議院選挙では改選1人区が全国で32ある。
通常だと与党vs野党第1党の図式となりやすいのだが、今回の選挙では野党が共闘。全32選挙区で「野党統一候補」が実現。安全保障や経済政策といった重要政策においても突き詰めていくと相違が大きい部分もあるのだが、安全保障関連法の廃止や、憲法改正を阻止するといったテーマで共闘している。自公は「野合」と批判。有権者の判断に注目が集まる。
18歳選挙権
選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公選法が19日、施行された。今回の参院選が18歳以上が投票できる初の国政選挙となる。
新たに選挙権を得るのは18〜19歳の約240万人。この数字は全体の約2%にあたる。
この中で果たしてどれくらいの人数が投票するのか?
社会保障の問題など日本の政治が高齢者優遇の政策が多いのはひとえに高齢者の投票数が多いから。この機会に10代に限らず、20代の有権者の投票率が上がれば給付型奨学金や子育て支援政策など若い世代が渇望する政策の実現が早まるかもしれない。
合区
選挙のたびに問題となるのが「一票の格差」。有権者の数が選挙区によって違うため、どうしても一票の重みに差が出てしまう。とはいっても完全に同じにすることはできないため、一票の格差が「2倍以上」になると、裁判で「違憲状態」とされてしまう。
前回、2013年の参院選では2倍どころか4.77倍の格差となってしまったため、今回の選挙では人口の多い選挙区で10人増やし、人口の少ない選挙区で10人減らすという「10増10減」の定数是正が行われた。
これにより鳥取と島根、徳島と高知が「合区」となってしまった。これまで各都道府県に1人いた参議院議員が合区となると1人もいない県が生まれてしまうと、地方の声が国政に反映されにくくなるという懸念の声も上がっている。
一億総活躍
2015年10月の内閣改造で発足した第3次安倍内閣の目玉政策となったのが「一億総活躍社会」。この実現に向け新設した「一億総活躍担当大臣」に加藤勝信氏が就任した。
女性活躍
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)が平成27年8月に成立した。5月に行われた伊勢志摩サミットでも合意文書の中で「女性活躍」がうたわれるなど喫緊の課題となっている。