一木美里のおいしくたべようの会 vol.04『秘密の箱、モントークで内緒話』
一木美里です!先日、神宮外苑の花火大会へ行ってきました。
花火が上がる直前に豪雨が止み、素敵な夏の思い出ができました♫
花火と同じく楽しい夏は一瞬で終わってしまいますよね。
おいしく食べようの会、4週目のテーマは私の趣味の1つでもある 「夜お茶」。
1番お気に入りの場所をご紹介します。
金曜日の夜、渋谷も六本木も街はざわついていつもより華やぐ。自然とそんな街を避けて向かったのは、学生時代から通う原宿の交差点近くにあるカフェ、モントーク。黒い半透明の箱のような形をした建物はどこか異空間のような、別世界のような場所。秘密の扉を 開けるように戸を押すと、モントークの店員さんたちはいつも「おかえりなさい」みたいな顔で出迎えてくれる。
階段を上って席へ、温かい丸いライトの横の黒い革張りのソファーの座り心地は最高で、そこからキラキラの表参道を眺める。若い子にはもう通じないGAP前交差点、ちかちかする信号。お盆の東京は普段からは想像し得ないまばらな人影。その中の1組のカップルが手を繋いで人の少ない通学路を歩いているかのような表情で駅の方へ行くのを見た。東京へは台風が近づいていて建物の中から見ていても強い風は吹いたのがわかって、少し泣きそうになる。初めてこの原宿の街に来た10年以上前のあの日から、得たものと失ったものって同じくらいあるのかもしれない。
夜のおしゃべりタイムに向けて、いつも通りアイスカフェラテをオーダーすると、素敵な女性の代表格みたいな先輩はホットのハーブティーを選んでいて、いつも通り美意識への自分の甘さにはっとした。おいしいコーヒーとまろやかなミルクの味を楽しみながら、向かい側のハーブの微かな香りに深呼吸。小さな甘えの積み重ねが今の自分の足かせになってるなんてことはとっくに気がついているけれど、それでもカフェラテがしっくりくるのは、苦いコーヒーと優しいミルクの味が自分の恋といつも似ているからなのかも。
ピエールロベールのチーズとはちみつが口の中で溶けていく短い時間の中でも、先輩は大事なことを教えてくれる。
「恋は焦らずなんて嘘。恋と鉄は熱いうちに打て、でいいと思う」
チーズと蜂蜜が同時に絡んで最高においしいのなんてほんの一瞬で、多分それと同じことなんだろうな、と想像してみた。いくら余韻は残ると言えど、それは消えてなくなってしまう。ふと、目を落としたお皿に書かれた”Enjoy”の言葉がやけに心に残った。6種類のチーズと、いくつかのトッピングや付け合わせを選べる THE PERFECT CHEESE BOARDというメニュー。気分に合わせてこの中から選ぶ時間が好き。なんでもこうやって自分の意思で決められたらな。
恋は突然落ちるもの、決めてその穴に落ちて行くわけじゃないから 誰にでも打ち明けられる訳じゃないのが常。恋への憧れをいろんな 経験で打ち砕かれて、女性たちは計算と妥協を覚えていくけど、私たちは素敵な恋が空から降ってくるかのような期待を抱いている。森鴎外の「舞姫」を読んでもなお、小さい頃から繰り返し聞いたおとぎ話の記憶は消せない。
内緒話のように小声で恋の話をすると、静かなBGMと一緒になって、一つの曲のように鳴っている気がした。
小腹減るよね、とキヌアタブーレというレバノン料理を頼む。キヌア、パクチー、それからミントが混ざり合ったすっきりとした味が 頭を冴えさせてくれてまた話が弾む。美容効果たっぷりのお気に入りのサラダはスプーンですくって食べる。ミントの爽やかさってなんて偉大なの、こういうすっきり気分で毎日過ごせたらいいのに。
夜は更けて行く、終わらない内緒話への対策にも十分なくらい、モ ントークは夜中3時まで開いている。窓の外の表参道はショーウインドウの光が消えてもなお、キラキラして見えた。「おやすみなさい」そう言って可愛くて優しいお姉さんが戸を押してくれる。秘密の箱を飛び出して、外の世界へ”いってきます”そんな気分で店を出た。
この内緒話の続きは次の夜お茶で。帰り道、Birdyの「Tee Shirt」を2回聴いた。
モントーク(montoak)
www.montoak.com/
150-0001 東京都渋谷区神宮前6-1-9
Tel:03-5468-5928
OPEN:月〜木 / 日 11:00〜25:30、金 / 土 / 祝前日 11:00〜27:00
無休
歌手、DJ、SamanthaThavasaグループブランドレップ。
1989年12月6日生まれAB型。学生時代より読者モデル、リポーター、バックダンサーなど多岐に渡って活動。
SNSや雑誌を通してファッション、ライフスタイルを発信中。
【公式instagram】▶︎ https://instagram.com/misato_ichiki/