一木美里のおいしくたべようの会 vol.09「お昼がくるまえに、子どもみたいに」
一木美里です。先日YSLBeauteの新しい香水”モンパリオーデパルファム”のパーティへ。めまいがするほどの恋の香りを嗅いでますますパリに行きたくなってきた今日この頃。
第1週目のテーマは”朝ごパン”です。
平日、週の真ん中、午前中の四ッ谷駅。
通勤ラッシュを過ぎた時間帯の駅ビルの中には、学生とママ友たちがいっぱい。
午前中の眩しい日差しが差し込む「PAUL」の店内でオーダーしたのはクロワッサンのモーニング。王道のパン屋さんで王道の朝ごパン。
クロワッサンを裂く瞬間が、嫌いな人なんていないはず。
周りのさくさくした生地の中のふわふわした白とバターの香り。これこそ朝のパンの香り。
20歳の頃のこと。
今、目の前でパンを頬張る親友と一緒にパリへ行って、同じようにクロワッサンのモーニングプレートを食べた。
たしかロワイヤル広場の近くのカフェで、クロワッサンとパンオショコラを、まだ空が暗い早朝。
’’おとなになりたて’’だったあの頃、薄暗い、世界で一番美しい街と言われる場所で未来に想いを馳せた朝。
パリを思い出すとき頭の中で流れるのは決まって大好きなフレンチポップスの『commedesenfants』。子供みたいに、って意味のタイトルの曲は淡々と響いてく。女の子なら誰しも”こども扱い”を期待する気持ちはあるはず。許される相手とか時間とか、そういうのはおとなになるほど限られていく感覚。
6年の月日はわたしを取り巻く環境は凄まじく、日々スピードを増してくように変えていって、’’すっかりおとな’’くらいまで来たようにと思う。
「でも今のわたしたちってさ、暗かった早朝から明るい朝が来て、まだこれからお昼ごはんです、くらいな感じだよね。人生80年と思ったら!」
大きくなったお腹を摩りながら親友は言った。彼女のおなかにいる二人目の子供。
この二人はあのときまだこの世にいなくて、生まれてくることも決まっていなかったんだ、と思うと、当たり前なのにすごく不思議な気持ち。
明日は明日の風が吹くなんてよく言ったもので、風向きも何も予測不可能。
ここから先にも、この子に出逢えたみたいな、そんなハッピーなサプライズがいっぱいあるといいな。
あの頃たしかわたしはドライフルーツが食べられなかったけど、今では大好物。
あの頃最高においしいパンに思えたパンオショコラは、とても甘いけど変わらず美味しくて好き。
一度好きになったものを嫌いになるのは、食べ物でも物でも人でもなかなか難しい。
飽きる瞬間があっても本当に好きになったものが嫌いになることはあんまりない。
でも、嫌いだったもの、人を、好きになれる瞬間であるのかも。
そんな期待と一緒に甘いパンたちを全部、胃の中へ送り込んだ。
いい午前中だったなぁ、そろそろお昼の時間だね。
PAUL四ツ谷店
【Time】7:30?22:00
【Place】東京都新宿区四谷1-5-25 アトレ四谷1F
【Tel】0353688823
【HP】 http://www.pasconet.co.jp/paul/index.html
歌手、DJ、SamanthaThavasaグループブランドレップ。
1989年12月6日生まれAB型。学生時代より読者モデル、リポーター、バックダンサーなど多岐に渡って活動。
SNSや雑誌を通してファッション、ライフスタイルを発信中。
【公式instagram】?? https://instagram.com/misato_ichiki/