Krush.70 佐々木が-63kg初防衛 -67kgは塚越が悲願の初戴冠

塚越(右)が壮絶な打撃戦を制する(撮影・上岸卓史)

 第2試合の-67kgタイトル戦は王者・渡部太基に塚越仁志が挑戦。壮絶なド付き合いの末に塚越が2-0の判定で勝利を収め、プロ生活10年にして初戴冠を果たした。

 2人は約1年前に当時、王者だった牧平圭太への挑戦権をかけて対戦。塚越が先制のダウンを奪ったものの、渡部が2度のダウンを取り返し逆転勝ち。渡部はその勢いそのままに牧平も破り、第4代王者となった。塚越はその後、平山迅をKOで沈め、再戦にこぎつけた。
 今回も1Rから激しい打撃戦を展開。距離を取ろうとする塚越に対し、渡部は蹴りをもらってもとにかく前へ。渡部がパンチでぐらつかせる場面もあったが、塚越も要所で放つミドルキックやカウンターのストレートで渡部の突進を止める。ほぼ互角の打ち合いを見せたが試合が動いたのは2R。塚越が飛びヒザから左フックを放つと渡部はぐらり。塚越は追撃の左フックの連打を放つと渡部は崩れるようにダウン。渡部はなんとか立ち上がるが、続けての連打ですぐに2度目のダウンを喫する。この時点で残り47秒。もうダウンできない渡部だったが、ここから逆襲。パンチの連打で逆サイドまで塚越を押し返す。
 この勢いは3Rに入っても続き、今度は渡部が左ハイキックでダウンを奪う。なおも攻撃の手を緩めない渡部だったが、塚越はふらふらになりながらも無意識のうちに渡部に体を寄せて倒れない。なんとかしのぎ切り終了のゴングを聞いた。

 ダメージの大きい塚越は試合後の会見で「お客さんの声しか聞こえなくて、あとはほとんど覚えていない。断片的に(渡部に)迫られているところだけ…。何回倒したかも覚えてない」と振り返った。勝利の瞬間、セコンドについていた左右田泰臣、同じジムのKANA、そして城戸康裕らが歓喜の声をあげた。その左右田は会見中も涙を浮かべながら塚越を見守る。その姿を見た塚越は「いつも左右田さんに僕だけベルト巻いてないってバカにされて。その左右田さんが泣いてるのが…優しいですね」と話した。

 また今大会から16人が参加し7カ月に渡って行われる「第5代Krush-60kg王座決定トーナメント」がスタート。この日は4試合が行われ、渡辺武、佐野天馬、朝久泰央、覇家斗が次戦に駒を進めた。
 タイトル戦を経験している大沢文也、島野浩太朗、K-1の日本代表決定トーナメントに出場した明戸仁志といったキャリアのある選手たちが1回戦で姿を消す波乱のスタートとなった。