一木美里のおいしくたべようの会　vol.12『ほんとのジンジャエール』

　骨董通りを進んですぐの脇道を入るとあるレストラン「GingerGarden」。
　キラキラしたライトとグリーンの映えるお店の中にわくわくしなが ら入って、
　すぐに3人分の自家製ジンジャーエールを頼んで乾杯。喉をじんわり温めながら通って身体に染みわたるジンジャーのぬくもり。
　金属のカップの中でたっぷりの生姜と氷が揺れて小さく鳴る金属 音が心地よくて、くるくる回す。

　店内にBrunoMarsの「YoungGirls」がかかって いた。
　同じ場所にいて、同じように笑っていても、同じ想いでいるとは限らない。
　大人になってから誰かに自分を正しく理解して信じてもらうってな かなか大変なこと、
　逆もそうで、誰かを正しく理解して信じることも大変な、奇跡的な ことで、努力なしには成し得ない。

　わたしたちの姿は他の人の目に、どんな風に写ってるんだろう？
　わたしたちの恋愛は他の人の目に、どこまで見えていて、どんな風 に写ってるんだろう？

　ふわふわのスクランブルエッグをバケットに乗せながら、過去に、未来に想いを馳せる。
　大好きだった人のこと、今は何とも思わなくて、
　何とも思わなかった人のこと、今は大好きだったり。
　ねぇ、こんなに最高に合う濃厚なチーズとふわふわのたまごみたいになる恋愛はあるのかな。
　びっくりするくらいに合って、ふわふわが気持ちよくて、一緒に食べるとよりおいしいの。

　ジンジャエールの中に入った生姜を食べながらじんわりとまた身体 に染み渡らせてから言う。

「でも、恋なんて理屈じゃないから。落ちるときに落ちるよね。
　どんなに素敵な贈り物を毎日くれる人よりも、
　同じ曲の哀しさに同じときに気づけたり、
　そういうことが大切なの、大切にしたいの」
「うん、そうだよね。ちゃんと気持ちを大事に生きたいよね」
「恋する瞬間ってあるよね。でも、毎回落ちてるとは限らないよ」

　そばに居てくれる大切な友達たちと、１つ１つ確認しながらひとつ づつ大人になってく。

「でもね、信じても信じなくても同じ明日なら、信じたほうがいいと思うの」

　その言葉に頷いてくれる親友は、 １つ歳を重ねてまた可愛くなった。
　可愛い笑顔で悩みを許してくれる、
　いつも少し先で待っていてくれる親友たちと、
　最高においしいジンジャエールをおかわりする夜。
　これこそほんとのジンジャエール。

GingerGardenAOYAMA
【URL】 http://ginger-garden.com/
【place】東京都港区南青山5-10-8アナーブル青山1F
【tel】03-6892-8088
【time】月?日11:30~15:00 (L.O14:30)、18:30~23:30（FOOD L.O 22:30 DRINK L.O23:00）
【定休日】なし