あこがれの選手が先生に! プロ野球選手による野球教室が開催【夢の課外授業】
今年日本一に輝いた福岡ソフトバンクホークスの監督・工藤公康が毎年12月に開催している野球教室が3日、東京・神宮室内野球練習場で開催された。今年で24年目を迎える「チャリティ・キッズ・ベースボールスクール2017」(主催:二十一世紀倶楽部、夢の課外授業実行委員会)には、工藤監督のほか、現役のプロ野球選手が先生として参加。東京と近郊の10チーム、約100名の子どもたちが、憧れのプロ選手から直接指導を受けた。
21世紀における人材創りを目的に1987年に設立された団体「二十一世紀倶楽部」の会員である工藤監督の「野球を通じ次世代を担う子どもたちの人材育成になれば」という思いから、1994年にスタートした同スクール。毎回工藤監督ほか、セ・パの垣根を越え多くのプロ野球選手が先生となり、基礎から実践に役立つ練習まで、きめ細やかに指導。今回は、田中正義(ソフトバンク・投手)、大江竜聖(巨人・投手)、西田明央(ヤクルト・捕手)、岡本和真(巨人・内野手)、谷内亮太(ヤクルト・内野手)、鈴木尚広(元巨人・外野手)、上田剛史(ヤクルト・外野手)、織田淳哉(スーパーサブ)が子どもたちの指導にあたった。
ポジション別の練習に入る前に、工藤監督がキャッチボールの大切さをレクチャー。「キャッチボールは野球の基本です。キャッチボールと打つことは関係ないと思うかもしれないけど、キャッチボールが上手な人は打つのもうまくなるし、試合にも勝つことができる。プロもキャッチボールを一番大事にしています」とその重要性を繰り返した。
その後、ピッチャー、キャッチャー、内野手、外野手、工藤監督チームに分かれ練習がスタート。ピッチャーの子どもたちには、プロが真横でフォームチェック。子どもたちの背の高さまでしゃがみながら、足の踏み出し方、手の振り方などを一人一人丁寧に指導。内野手の練習では、体の正面での補球から、ファーストへ見立てた選手への正確な送球を流れで練習。プロ選手直々のノックに真剣に食らいついていく子どもたちは真剣そのもので、声を出しながら懸命にボールを追いかけた。外野手練習はゴロ、ライナー、フライのキャッチから、返球までを繰り返し練習した。
工藤監督は、プラスチックのバットと発泡スチロールのボールを使っての指導。バットは打つためではなく、投げる時に真っすぐ腕を振り下ろすフォームを身につけさせるため。バットが軽いので、体重移動をきちんとしなければ、逆にバランスを崩しグラグラと不安定な状態に。最初はうまく振り下ろせなかった子どもも、工藤監督が目標を定めることで、ビシッと安定するようになった。発泡スチロールのボールも同様に、少しでも腕の角度が曲がっていたり、不均等に力が入ったりすると、まっすぐ投げられない性質を利用し、正しいフォームを体に覚え込ませていく。最初は思うようにボールが投げられず、四苦八苦したものの、監督のアドバイスでコツをつかんだのか、少しずつボールの軌道も安定するようになってきた。
練習後は、各チームの代表バッターがプロのピッチャーと対戦。子どもたちは自分のチーム以外の選手も大きな声で応援、いい当たりをした選手には大きな拍手が送られた。そして、選手のサインが入った帽子やタオル、グローブが当たるお楽しみ抽選会。名前が呼ばれるたびに歓声があがり、笑顔で駆け出しながらプレゼントを受け取った。
最後に工藤監督は「この中から1人でも多くのプロ野球選手が現れるのを期待しています。一生懸命練習すれば必ず結果は出ます。今日習ったことは続けないと意味がないのでぜひ続けて下さい。練習は嘘をつきません。頑張って、夢をかなえて下さい」とエールを送った。