2.3kgオーバーのネリにWBCが無期限資格停止
「WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(3月1日、東京・両国国技館)で山中慎介がルイス・ネリと対戦。山中は2R1分3秒、TKOで敗れ、王座奪還はならなかった。
この試合は昨年8月に山中の13度目の防衛戦として行われたカードの再戦。山中は4RTKOで敗れたのだが、その後、ネリのドーピング疑惑が発覚。WBCは「意図的な摂取の証拠がない」としてこれを不問とし王座はそのままとしたものの、山中との再戦を義務付け今回の対戦が実現した。
山中は「勝っても負けても最後」と決めてのリングだったのだが、ネリは前日計量で2.3kgオーバーという信じがたい暴挙。2時間後の再計量には1キロ落としてきたものの、それでもまだ1.3kgオーバー。この時点で王座ははく奪。山中が勝った場合のみ山中が王者として認定されることとなった。ネリはぐったりした表情を見せ、減量失敗について新しい栄養士のせいとしたが、短時間で1キロを落としてきたことから“確信犯”を疑う声も出た。
当日は山中も体重を戻しての戦いではあったが、過酷な減量を行ってきた者とそうでない者では体に残るダメージは比べようもなく、ファンの期待もむなしく山中は敗れ去った。
試合後、山中は「今回の試合に悔いはない。これで最後。これで終わり」と現役引退を宣言。そしてネリについては「柔らかくていい選手やけど、昨日は本当に人として失格」と話し、「ボクシング界全体でルール統一してほしい。ファンが納得しない」と訴えた。
一方ネリは「俺たちはやったぞ」と大喜びで「残念だが、また勝って世界チャンピオンに戻れる。今回の減量はうまくいかずに申し訳ない」などと全くこりた様子はなかった。しかしこのネリの暴挙に日本ボクシングコミッション(JBC)が1年間の招へい禁止処分を決めるとWBCもネリを無期限資格停止とすることを発表。帝拳ジムにファイトマネーの支払いの凍結も指示した。