海人が1RKO勝ち。シーザー会長が「世界でも通用」と太鼓判【6・10 SB】

海人の左ボディーがジャオウェハーにぐさり(撮影・上岸卓史)

「伝家の宝刀」のヒジ打ちを出すこともなくパンチで完全KO
 シュートボクシング(SB)の『SHOOT BOXING 2018 act.3』(6月10日、東京・後楽園ホール)のメーンイベントで海人がジャオウェハー・シーリーラックジムを1R2分43秒、KOで下し、エースの貫禄を見せつけた。

 ジャオウェハーは2016年に行われた宍戸大樹の引退試合の相手を務めた選手。その時は強烈なヒジ打ちで宍戸を3R、TKOで葬り、ジャオウェハー=ヒジ打ちというイメージをファンに印象付けた。

 一方、海人は国内外の強豪を相手に現在6連勝中。その中にはヒジでのTKO勝ちも3つ含まれるなど、今やそのヒジは「伝家の宝刀」ともいうべき武器となっている。

 そんな2人の対戦とあって、この試合もまさに“斬り合い”の様相を呈するものとなると思われたが、海人はその刀を抜くことなくジャオウェハーを完全KOした。

 試合は序盤から海人が右のジャブからローキック、ジャオウェハーのミドルをキャッチしてパンチを連打で打ち込むなど手数でも威力でも圧倒。最後は右アッパーから左右の連打でコーナーに追い込むと一気のラッシュ。ジャオウェハーは崩れ落ちるようにダウンし、レフェリーがすぐに試合を止めた。

試合後のマイクで海人は「思っていたよりパンチが入ったのでパンチでいっちゃいました」(撮影・上岸卓史)

今後については「ザカリアにヒジなしルールでお返ししたい」
 今回は階級を上げての対戦だったのだが、そんな相手に真っ向打ち合ってのKOでエースの仕事をきっちりと務め上げた。

 試合後の会見では試合を振り返り「この日は30点くらい」と厳しい自己採点。その理由については「早いラウンドでは倒したいとは思っていたが、勝ち方にもこだわっていかないといけない立場になったと思うので、皆さんが期待しているヒジで勝てたほうが自分自身もお客さんも盛り上がったのかなと思う」と話した。

 今後については「一度負けているので(ザカリア・ゾウガリーと)やりたい。ヒジなしのルールでお願いしたい。ヒジなしのルールで負けているので、それで勝たないとやり返したことにはならないと思うし、ヒジが得意でヒジでしか倒せないと思われるのも嫌なので、パンチとか蹴りも使えるということも皆さんに見てもらいたい」などと話した。

 日本シュートボクシング協会のシーザー武志会長は海人について「強くなった。65kgでは№1じゃないか。世界でもやっていける」などとその実力に太鼓判を押した。

試合を有利に進めながらも出血でTKO負けとなった村田は痛恨の表情を見せた(撮影・上岸卓史)

村田聖明に手痛い“ムエタイの洗礼”。逆転のTKO負け
 セミファイナルではSB日本スーパーフェザー級王者の村田聖明がタイのヒンチャイ・オー.センスックジムと対戦。

 ヒンチャイはタイの「MAX MUAYTHAI」で活躍するムエタイ戦士。初のムエタイとの対戦となった村田だったが、ヒジで顔面を切り裂かれ、3R1分41秒、無念のTKO負けを喫した。

 1R序盤こそ手数が少なかった村田だったが、終盤になると距離を詰め、右アッパー、フックと多彩なパンチでヒンチャイを追い込む。2Rに入ってもプレッシャーをかけパンチを打ち込む村田。たまらず組み付いたヒンチャイにきれいな首投げを決めシュートポイント1を奪うなど完全に主導権を握る。ラウンド終盤にはコーナーに詰めパンチの連打であわやの場面も作り出した。KO勝ちも時間の問題と思われた村田だったが、後のないヒンチャイは3R、距離が詰まったところで左の縦ヒジ一閃。これで鼻血が噴き出した村田がなおも前に出たところで今度は右ヒジが村田の前頭部にさく裂。おびただしい出血にドクターチェックが入る。このまま試合を止めるわけにはいかないとばかりに観客の声援をあおる村田だったが、そのまま無念のドクターストップ。ムエタイの手痛い洗礼を受けた。

試合後、土屋(右)を称える宍戸(左)(撮影・上岸卓史)

宍戸大樹が復帰2戦目でTKO勝利
 4月大会で2年ぶりの復帰を果たした元SB東洋太平洋ウェルター級王者の宍戸大樹が復帰2戦目で元修斗環太平洋ライト級&フェザー級王者の土屋大喜と対戦。3R1分8秒、逆転のTKO勝ちを収めた。

 SBへは2度目の参戦となる土屋はきっちりとSBの戦い方に順応。1、2Rと重いローキックとパンチで宍戸を追い込んでいく。宍戸もバックブロー、バックスピンキックといった変則的な攻撃で局面の打開を図るが、思うようには攻め込めない。しかし2R中盤からヒジを狙い始めると、3R序盤についに左の縦ヒジが土屋の顔面にさく裂。出血のためドクターチェックが入り、そのままストップ。TKOで宍戸が復帰2戦目を辛くも飾った。

伏見(左)は竹野との激戦を制し準決勝へ(撮影・上岸卓史)

笠原友希と伏見和之が準決勝進出
 この日は、内藤大樹が返上した「SB日本スーパーバンタム級王座」の次期王座決定トーナメントの1回戦2試合が行われ、笠原友希と伏見和之が勝利を収めた。

 笠原は内藤凌太と対戦。パンチの手数と確実性で内藤を圧倒し3-0の判定で勝利を収めた。

 伏見は竹野元稀と対戦。攻め込みながらもラウンド終盤に投げでシュートポイントを許すなど手こずる場面もあったが、終盤の激しい打ち合いを制し2-0の判定で勝利を収めた。

 2人は9月15日に後楽園ホールで行われる準決勝に駒を進めた。伏見は植山征紀と、笠原は川上叶とそれぞれ対戦する。

「SHOOT BOXING 2018 act.3」(6月10日、東京・後楽園ホール)試合結果
◆第8試合 68.0kg契約 エキスパートクラスルール 3分5R延長無制限R ※ヒジ打ちあり
〇海人(SB日本スーパーライト級王者/TEAM F.O.D)(1R2分43秒、KO)ジャオウェハー・シーリーラックジム(MAX MUAYTHAIスーパーライト級王者/タイ・シーリーラックジム)●

▼第7試合 62.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R ※ヒジ打ちあり
●村田聖明(SB日本スーパーフェザー級王者/シーザージム)(3R1分41秒、TKO)ヒンチャイ・オー.センスックジム(MAX MUAYTHAI -61kg級6位/タイ・センスックジム)

▼第6試合 68.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R ※ヒジ打ちあり
◯宍戸大樹(元SB東洋太平洋ウェルター級王者/シーザージム)(3R1分8秒、TKO)土屋大喜(元修斗環太平洋ライト級&フェザー級王者/roots)●

▼第5試合 68.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R
●忍アマラー(元WPMF世界スーパーライト級王者/モンゴル/SBモンゴル・SHINOBU fighting gym)(判定3-0=28-30、28-29、28-29)奥山貴大(SB日本ウェルター級1位/GSB)◯

▼第4試合 60.0kg契約 エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R
〇笠原弘希(SB日本フェザー級1位/シーザージム)(1R2分56秒、KO)直也(INNOVATIONフェザー級3位/VERSUS)●

▼第3試合 SB日本ライト級(62.5kg) エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R
◯西岡蓮太(SB日本ライト級1位/龍生塾)(判定3-0=30-29、30-28、30-28)ポッシブルK(翔拳道)●

▼第2試合 SB日本スーパーバンタム級(55.0kg) エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R
◯伏見和之(SB日本スーパーバンタム級3位/シーザー力道場)(判定2-0=29-28、29-29、29-28)竹野元稀(SB日本スーパーバンタム級6位/風吹ジム)●

▼第1試合 SB日本スーパーバンタム級(55.0kg) エキスパートクラス特別ルール 3分3R延長無制限R
●内藤凌太(SB日本スーパーバンタム級4位/ストライキングジムAres)(判定3-0=28-30、27-30、27-30)笠原友希(SB日本スーパーバンタム級5位/シーザージム)◯

▼オープニングファイト2 58.0kg契約 スターティングクラスルール 2分3R延長1R
●清水悟(SB日本フェザー級/シーザージム新小岩)(判定3-0=29-30、28-30、28-30)魁斗(SB日本フェザー級/立志会館)◯

▼オープニングファイト1 58.0kg契約 スターティングクラスルール 2分3R延長1R
◯手塚翔太(SB日本フェザー級/GONG GYM坂戸)(判定3-0=30-28、30-28、30-28)須賀裕一朗(TENKAICHIフェザー級7位/AFC)●