金子晃大「チャンピオンの肩書をナンパに使われるのは困ります」
色白で細身、俳優の坂口健太郎似の金子晃大。格闘家には見えないイマドキの男子だが、デビュー以来、無敗でKrushバンタム級チャンピオンに駆け上がったスゴイ選手なのだ。しかし当の本人は…「よく分かんないですよね。6戦しかやってないので、どのくらいでチャンピオンになるのが普通なのか、平均が分からない。大体こんなもんじゃないんですか?」と涼しい顔。会見や勝利者インタビューでもとぼけた発言が目立つが、普段からいわゆる“天然”キャラらしい。
「天然っていうか、よく怒られるんです。この前もジムの先輩の左右田さんの試合で、左右田さんが持ってきたおにぎりを食べたんですよ。食べてもいいって言うから。そしたらちょうど食べている最中に、左右田さんと大宮司代表が入ってきて、すごい変な雰囲気になって…あれっ?って。そしたら案の定、次の日めっちゃ切れられました。左右田さんに。タイミングが悪かったのかな…。もしかして、後から食べようと思って楽しみにしていたのかも。だったら悪い事しちゃったな」
先輩に対してもこの態度。しかし、その物怖じしないところが可愛がられているようで…。
「僕、おねだりはよくしますよ。ジムでも皇治さんや城戸さんがカッコいい練習着とか着てると、“それ下さい”って言ってもらっちゃう。大体みんなくれます。そんなに高いものとかねだらないのがコツです。そこそこぐらいで(笑)。多分すごいおねだり上手です」
しかも、最近はそのキャラを逆手にとっているとか。
「このキャラのおかげか、最近はミスをしても逆にほめられるので、ラッキーみたいな。この前も練習着が裏返しで前後逆だったんですけど、怒られるどころか“やっぱ、お前持ってるな”とか言われて(笑)。何をやっても褒められるなら、いいかなって。褒められると悪い気しないので(笑)。ヤバい時とかは、天然キャラを使って何とかしてやろうと思ってます」
意外にしたたかな一面を見せる金子。チャンピオンを何人も排出している名門ジムを選んだのも、その辺の計算が働いた?
「いやー、全然知らなかったんですよ。小さい頃に水泳をやっていて、中学時代は囲碁将棋部。高3で格闘技をやってみたいなと思って、近所で始めたんですけど、アマチュアの試合で結構勝っちゃって。それで本格的にやるならどこがいいかなと思って“キックボクシングジム、強いところ”でググったら今のジムが出てきました。で、知恵袋でも“シルバーウルフがいいですよ”って出てたので、そうなんだと思った。だからほかのジムの事も全然知らず、とりあえず強そうだから入ってみるかって感じで…」
あくまで俺流を貫いているが、チャンピオンになって、ひとつ困った事があるという。
「知っている友達は声を掛けてくれたりして、やっぱチャンピオンになると違うなと思ったんですけど、地元の仲のいいやつが、僕を利用するんです。一緒に遊びに行くとナンパとかするんですけど、僕をだしに使うんですよね。“こいつチャンピオン”とか言って。僕はTwitterとかで“チャンピオンとか言ってる人にナンパされた(笑)”とか書かれるのが絶対に嫌だからそういう事はしないのに、チャンピオンの肩書をそんなふうに使われるのはホント困ります」
好きな女性のタイプもなかなかユニーク。
「エヴァンゲリオンっぽい子が好きです。手足が長くてすらっとした感じの。性格的にはヤバくないやつ。僕、ヤバい女の子見分けるのめっちゃ得意なんです。ある日突然見分けられるようになった。一種の特殊能力だと思うんですけど、なんかこいつ地雷っぽいから近づかないでおこうって思ったら、1年後にやっぱり地雷だったって噂を聞いたり…。だから地雷じゃなきゃいいです」
つかみどころのないキャラクターではあるが、格闘技の実力は本物。目標を聞いた。
「みんなが知っている人になりたいです。ドラマとか出てみたいですね。菅田将暉さんとちょっとからんで見たいです。すごくいい人そうだから。バラエティーだったら『行列のできる法律相談所』に出たい。昔からあまりテレビは見ないんですけど、行列は結構見るんですよ。そしてゆくゆくはひな壇でアンジャッシュの渡部さんの位置に行きたいです(笑)。格闘技でかなえたい夢? そっちは…毎回盛り上がる試合をしたいです。KOをバンバンできる完璧なチャンピオンになりたい。チンギス・アラゾフばりの、何でもできる選手になる事が目標です。ずっと防衛しつつ、チャレンジは忘れない。そしてゆくゆくは行列に出て、50歳ぐらいになったら、渡部さんの地位にいたいと思います(笑)」