【インタビュー】柄本佑×中野裕太 18世紀ポルトガルと21世紀日本。時を超えた“1人2役”に挑戦
ハードな異国の撮影ながらも、しっかりポルトガルを満喫した2人。とくにポルトガル料理は大絶賛。
中野「僕のおススメはロンビーニョというステーキに、クリームキノコソースがかかったやつ」
柄本「あれはうまいね。見た目からしてボリューミーでね。料理名が“ハイカロリー”でもいいくらい(笑)。あと、フランセシーニャという郷土料理。ステーキの上にチーズ、パン、そしてソースがたっぷり」
中野「フレンチフライも乗っていて。あれは“ハイ炭水化物”だね(笑)」
柄本「それと一緒に飲むヴィーニョヴェルデが最高」
中野「佑くんはけっこう一人でカフェに行ったりしていたでしょ。どこかの店のオープンテラスで一人で食べたって写真を送ってくれたけど、僕は結局その店にたどり着けなかったんだよね」
柄本「ギマランイスにあった店だね。食事しながらヴィーニョヴェルデを飲んで、ぶらぶら歩いてコーヒー飲んで、また歩いて、別の店で2本目を飲んで…気づいたらホテルの自分の部屋で寝ていました(笑)」
21世紀東京オリンピック後の日本では、リストラで夢破れ自死を選んだ幸四郎(中野)と、ポルトガル人の妻マリナ(アナ・モレイラ)、リストラ宣告を下した加勢(柄本)の物語が描かれる。愛する人を奪われた女の復讐が再び描かれるのだが…。
中野「副題に『時の記憶』とつけられているんですが、ある悲劇が時を超えて繰り返されるという、ファンタジックな側面もある物語になっています。1人2役を3人の役者が演じることで、繰り返される復讐劇を俯瞰で見ることができる。それによって寓話的に、見る人それぞれの心に迫ってくる映画になっていると思います」
柄本「でも、アナはずっとあのラストシーンが納得できなくて迷ってたという話を聞きましたね。ファンタジックで現実的ではないって。アナだけじゃなくポルトガルのスタッフはほとんどそう思っていたらしくて。それで僕は、じゃあ君らはどういうラストならいいの?と聞いてみたんです。そうしたら、加勢があわやというところでガッとマリナをつかんで救うのがいい、って。この人たち、のんびりしてる割に過激なことを言うなあ、と(笑)」
中野「それだとトム・クルーズ的なラストになるね(笑)」
繰り返される悲劇の先に希望を見つけられるのか。寓話的なラストにその答えを見出せるはず。
(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)