BMXフリースタイル・パーク 中村輪夢『孤独』 【アフロスポーツ プロの瞬撮】

 スポーツ専門フォトグラファーチーム『アフロスポーツ』のプロカメラマンが撮影した一瞬の世界を、本人が解説、紹介するコラム「アフロスポーツの『フォトインパクト』」。他では見られないスポーツの一面をお届けします。

撮影/文章:西村尚己 (2018年9月16日 第2回全日本BMXフリースタイル・パーク選手権)

夕闇に包まれた都会の競技会場。

薄暗い空に向かって
BMXライダーが次から次へと舞い上がり、スリル満点のアクロバティックな演技で観客を魅了する。

そしてBMXフリースタイル・パークの若き日本のエース、
中村輪夢が登場すると会場の熱気は最高潮に達した。

彼は中学生でプロ転向を果たし、世界を舞台に活躍する高校2年生だ。
もちろん2020年東京オリンピックでのメダル獲得も大いに期待されている。

自転車競技のBMXフリースタイル・パークは、パーク内に設置された様々なジャンプ台を使い、
1分間の制限時間内に披露する高難度の技などを競い合うものだ。

“Extreme Sports”とも称されるように、危険を伴う過激で極端な演技は、常軌を逸している。
だからこそ、観客はその非日常的な光景に魅かれるのだろう。

一方、ライダーにとっては命懸けだ。
強靭な精神力で恐怖心に打ち勝ち、自らの技と運を信じながら果敢に攻める。
彼らの演技は、まさに孤独な闘いの結晶だ。

私はそんなことをイメージしながら、厚い雲で覆われた不安げな空に向かって、中村選手が勢いよく飛び出した瞬間、シャッターを切った。

■カメラマンプロフィル

撮影:西村尚己
1969年、兵庫県生まれ。大阪大学大学院工学研究科修了。
人間味あふれるアスリートの姿に魅せられ、学生時代にスポーツ写真の世界と出会う。
大学卒業後は、国土交通省に勤務しながらアマチュアカメラマンとして活動するも、どうしてもプロの世界で挑戦したいという想いが募り、2016年にアフロスポーツに転職。
現在は国内外のスポーツを精力的に撮影し、人間の情熱や鼓動、匂いなど五感で感じとれる作品づくりに励む。
2007年 APAアワード写真作品部門 奨励賞
2013年、2015年 写真新世紀 佳作 ほか

アフロスポーツ

1997年、現代表フォトグラファーである青木紘二のもと「クリエイティブなフォトグラファーチーム」をコンセプトに結成。1998年長野オリンピックでは大会組織委員会のオフィシャルフォトチーム、以降もJOC公式記録の撮影を担当。
各ジャンルに特化した個性的なスポーツフォトグラファーが在籍し、国内外、数々の競技を撮影。放送局や出版社・WEBなど多くの報道媒体にクオリティの高い写真を提供し、スポーツ報道、写真文化の発展に貢献している。

■アフロスポーツHP

Photographer


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