この作品を再演する意図とは 虚構の劇団『ピルグリム2019』

 鴻上尚史が1989年(平成元年)に劇団「第三舞台」で上演した『ピルグリム』を2019年版として虚構の劇団で上演する。

 初演後は2003年に新国立劇場でシリーズ「現代へ、日本の劇」のオープニング公演として上演されており、約16年ぶりの再演となる。

 物語は連載を打ち切られた作家が、現代とその作家が描く物語の中という空間軸を交錯させながら展開する。ピルグリムというのは「巡礼者」という意味で、小説の中の登場人物たちは理想の地を求めて巡礼を続ける。そして彼らを通じて「ユートピアは存在しないかもしれない」という現実が、悲劇的な視点で、喜劇的に描き出される。

 鴻上はその時代に起こっている出来事や風潮、進化する道具といったものを敏感に察知し、その一歩二歩先を行くシチュエーションを作り物語を展開する。再演にあたっても物語の骨子はそのままに、その時代の新しい概念を取り込み、物語も進化させてきた。

「平成最後の」というフレーズが跋扈するこの時期に、この作品を再演する意図とは? 2019年という時代を鴻上がどうとらえているのかも興味深い作品。
【日時】2月22日(金)〜3月10日(日)(開演は平日19時、土14時/19時、日14時。水曜は14時の回あり。※23日(土)は19時のみ。7日(木)は14時開演。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)
【会場】シアターサンモール(新宿御苑)
【料金】全席指定 前売・当日共通4800円/学割チケット3000円(予約販売のみ。枚数限定。劇団HPで販売。受付時に学生証提示)
【問い合わせ】サンライズプロモーション東京(TEL:0570-00-3337=全日10〜18時 [HP]http://kyokou.thirdstage.com/)
【作・演出】鴻上尚史
【出演】秋元龍太朗/小沢道成、小野川晶、三上陽永、渡辺芳博、森田ひかり、梅津瑞樹、溝畑藍、金本大樹、那須康史、山越大輔、吉原桃香・石田彩乃、坂本健、辻捺々/伊藤今人(梅棒/ゲキバカ)