【インタビュー】平井大、平成最後の映画『ドラえもん』主題歌を歌う



『ドラえもん』と『THE GIFT』は互いに共鳴しあっているように感じる。

「月には何があるんだろうとか、夜空を眺めて月に想いを馳せたりすることってあるじゃないですか。そういう程度ではあるんですけど、僕も月には興味を持っています。ロマンティックな部分、月がなくなったら地球上の生きているものがすべて絶滅してしまうような日常生活にはなくてはならないものでもあるとか。そんな身近な存在なのに行ったことがある人は数えるほどしかいないんですよね。そういうところにますます魅了されますね」

「月というテーマに対してポジティブなものが表現されている。そこに携われるのはうれしかった」と言う。時代を超えて愛される『ドラえもん』に最大の経緯を払いながら、自身の音楽と重ね合わせていった。

「古くからある作品ですから、これまで携わった人がどういう想いで作品に臨んできたのか、そうやって大事に作られてきた『ドラえもん』を見る方はどんなふうに見て、何をピックアップしているのかといったことを吸収して、曲作りを始めました」

「普段は、自分が興味があるもの、いいなと思ったものを、自由に音楽として表現している」が、今回のケースは、いうなれば「お題」が提示された形。

「今回のように題材があって曲を作るというのも何曲かさせていただいていますが、違いがあるかっていえば……もともと題材があるので、自分が考える手間が省けるといえば省けるってことぐらい(笑)。どちらにせよ、僕はまずテーマを作ってそこに向かって曲を作っていくので、そうゆう意味ではいつもとは変わらない。それに、先ほど言ったように、月は自分も興味を持っていたことだし、いつも通りに制作できたかと思います」

 しいて違いを見つけようとするならば、受け取り手の顔かもしれない。それを踏まえ、信じることの大切さなどをシンプルな言葉で綴る。

「子どもたちが見る、その親御さんの世代も見るということを考えると、普段の曲よりも、もっと広い視点を持ったほうがいいんだろうなとか、歌詞もたくさんの方の気持ちだったり、いろんなカタチに柔軟にフィットできるメッセージにしたいという意識はありましたけど、それも楽しんで作りました。……とはいえ、僕は、曲を作っていて、つらいとか苦しいとか思ったことがないんですよね。曲を作るのは大好きだし。嫌だなとかつらいとかは、たぶん、楽しさが凌駕しちゃってるんでしょうね。夜眠くなってくるとかはまあ、“つらい”なのかもしれないですけど(笑)」