二ツ目さん数珠つなぎ【第5回】柳家喬の字「落語の普及活動を生涯続ける事が使命だと思っています」

 落語ブームといわれて早ン十年。ブームはちょっと下火に?と思われているが、とんでもない。その頃まだ落語家の卵だった二ツ目さんが、現在の落語界を盛り上げている。そんなイキのいい元気な二ツ目さんを数珠つなぎでご紹介! 第5回は柳家わさびさんからの紹介で、柳家喬の字さんが登場!

 7年前から毎月続けているという「深川ひるま寄席~あおい落語会Jr.~」の会場でもある雲光院(清澄白河)の控室でのインタビュー。「ここがある意味落語家としての原点なんです」と語る柳家喬の字。その意味は?

「みなさん落語会って聞くと大体平日の夜か土日にやっているというイメージだと思いますが、実際7年前は本当に昼間の会が少なかったんです。皆無と言ってもいいぐらい。でもシニア層の会に昼間に呼んでいただいたり、また落語会ではないですけど、上野の博物館とかに行くと平日の昼間でも列ができるほど混んでいるのを見たりして、これは需要があるんじゃないかと。そこで、今もこの会で一緒にやっている三遊亭司兄さんが二ツ目の時に、一緒にこの「深川ひるま寄席」を始めました。それが波に乗って定期的に開催できるようになり、現在ではご縁のあった御茶ノ水、浦和、新越、鶴見でも「ひるま寄席」を定期的に開催しています。僕自身も昔サービス業をやっていて、シフト制のため土日が休みじゃなかったので、そういう方も結構いらっしゃると思っていたので、絶対に昼間の会は成功するだろうなと思っていました」


 成功を確信しつつスタートした「ひるま寄席」だが、そこには緻密な分析と戦略があった。
「会をやる場所は、必ず電車が2線以上通っている事。ここ(清澄白河)でしたら東京メトロ半蔵門線と都営大江戸線。鶴見はJRと京急、新越もJRと東武伊勢崎線など。アクセスが2通り以上あると、お客様も来やすいですし、集客の範囲も広がります。それでもお客様が少なかったら、何が悪かったのかを分析します。日程なのか、もしくはメンバーの落語家がそこにいらっしゃるお客様と合っていないのか。そういうことを分析し修正していきながら、各メンバーの得手不得手に合わせて役割分担をし、会を定例化していきます。ですから、お客様が集まらないで止めた会って、実はひとつもないんです。そのように会を企画構成したりするのも好きですし、僕自身プロデューサー的な事が得意だったりするので、そういう意味でも原点だと思っています」
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