二ツ目さん数珠つなぎ【第5回】柳家喬の字「落語の普及活動を生涯続ける事が使命だと思っています」
さん喬一門は現在弟子が11人。そのうち真打は7人いる。喬の字も今年の秋、いよいよ真打に昇進する。
「9月に真打になって、5代目柳家小志んを襲名させていただきます。喬の字という名前にはとても愛着がありますし、師匠の“喬”と最初に落語を好きになるきっかけとなった南喬師匠の“喬”が入っているので、すごく悩みました。もともと柳家小さん一門には、前座名に“小”か“さん”を入れるという慣わしがあったため、前座時代は“小きち”という名前だったんです。それが、二ツ目に昇進する時に、さん喬一門は喬太郎とか喬之助とか、ほとんどが師匠の“喬”の字をいただいているので、僕も“喬”が欲しいですとお願いし、いただいた名前が喬の字でした。“喬の字下さい”って言ったら“喬の字”をくれた(笑)。そんな経緯もあっての名前だったので、迷っていたんですけど、亡くなられた太神楽曲芸の翁家和楽師匠に、小志んを継がないかと言われていた事がずっと心に残っていて。4代目小志んは曲芸の独楽回しの方だったんですが、実は昭和、大正、明治までさかのぼれば、初代から3代目までは、噺家の名前だったんです。それでもともと噺家の名前だし、太神楽では継ぐ予定の人もいないので、継いでくれたらうれしいとおっしゃっていただいて。お会いするたびにちょくちょく“喬ちゃんが継いでくれたらうれしいな“とおっしゃって下さっていて、小さん一門っぽい名前でもあるので、継がせていただきたいと思うようになりました。それを師匠にお話ししましたところ、師匠が動いて下さり、5代目の小志んを継ぐことになったんです。ただこの話の難点は、和楽師匠がもうお亡くなりになられているので証人がおらず、誰も信じてくれない (笑)。“本当にそんな事言ってたの?”って(笑)」