中央アルプスの天然美少女格闘家 吉川桃加【ジョシカク美女図鑑 第13回】

総合格闘技をやろうと思ったきっかけは那須川天心選手

 女子格闘家の素顔に迫るインタビュー企画「ジョシカク美女図鑑」。第13回は「DEEP TOKYO IMPACT 2019 ~DEEPフューチャーキングトーナメント2018~」(3月16日、東京・新宿FACE)で女子のアマチュア部門に出場する吉川桃加。

 吉川は2017年にバラエティー番組「有吉反省会」で偶然取り上げられ「可愛すぎる女子相撲選手」として話題を呼んだ。現在高校2年生。これまでDEEP JEWELSにアマチュアとして出場し、2戦2敗と勝利こそ挙げられていないが、非凡な才能を見せ、今後の活躍が期待されている存在だ。

(撮影・蔦野裕)

相撲の国体の選手だった父親の影響で相撲に興味
 まずは格闘技のキャリアを教えてください。

「小さいころから相撲の国体の選手だった父の影響で相撲をよく見に行っていました。それで興味を持つようになって、小学校の1年生から相撲の大会に出るようになりました」

 お父さんが元国体の選手とはいっても息子ならともかく、娘が相撲に興味を持つというのはなかなか珍しいのでは?

「小さい頃から見に行っていたのが影響したのかなと思います」

 学校に相撲部があった?

「ないですね(笑)。父が男の子たちに相撲を教えていたので、その子たちと一緒に練習をしていました」

 他に相撲をやっている女子はいた?

「小学校の時はいました」

 男子でも相撲をやる子は少ないのに女子で相撲をしようという子がほかにもいるということは長野県は相撲が盛んなところ?

「今は御嶽海関の効果で結構多いみたいです。私はその前の時代になるんですが、結構いましたね」

 総合格闘技を始めたのはいつから?

「高校1年生になってからです」

 今、2年生?

「年度が明けて4月から3年生になります」

 ツイッターでは「格闘技を続けるために大学生にならないと」つぶやいていた。

「今は決まった場所で練習をしているわけではなくて、毎回場所を借りて練習しているんです。学校が終わって、家に帰ってからそこに行く感じ。なので今の練習環境を変えるために東京の学校に行って、練習場所がしっかりしているジムに行きたいと思っているんです」

 どこか行くジムが決まっている?

「いえ、まだです。今年の6月くらいをめどに出稽古をしながら決めたいと思っています」

 練習環境も含めた日々の生活パターンはどういった感じ?

「授業が始まるのは8時40分くらいで学校は4時くらいに終わります。それから家に帰って練習に行くんですが、家の近くで行ける練習場所が月火しかないんです。水曜か木曜にピアノが入っているので、普段通えるのは2日間くらい」

 それ以外の練習は? 塾に通ったりとか忙しそう。

「塾には行っていないです。お父さんがミット持ちとかスパーリングをやってくれるので、月火以外の練習に行けない日とピアノの日以外はほとんど家で練習をやっています」

 お父さんがミットを持ってくれる?

「そうですね(笑)。“次はサンドバッグを買う”とか言ってます(笑)」

 でも来年の3月には娘は家を出てしまうという…。

「そうですね(笑)」

(撮影・蔦野裕)

「とにかく強くなって、自分のレベルを上げて、いろいろな人と戦えるようになりたい」
 しっかりと勉強もして大学に受かることがお父さんとの格闘技を続ける上での約束だったり?

「特にそういうことではないんですが、より練習をするために、東京の学校に行ってしっかりとした環境にしたいと思っていて。今住んでいるところはちょっと田舎すぎるので(笑)」

 打撃のスパーリングをやっていて、ピアノは大丈夫?

「大丈夫です(笑)」

 なぜピアノを?

「もともと音楽に興味があって、小学校に入る前から弾いていました。家に鍵盤があって、それを弾いていて音楽に触れていたこともあると思うんですが、なぜか母に“ピアノを習いたい”と言ったらしいです。今ではジャンルにとらわれずに弾きたい曲を弾くという感じです」

 総合のデビュー戦は2017年12月。「DEEP JEWELS 18」で組まれたアマチュアルールの試合でアウトサイダー出身の山崎桃子と対戦し判定負けを喫した。

「桃子さんとは今は一緒に練習をするようになりました。戦友として(笑)」

 2戦目は昨年9月。こちらもJEWELSのアマチュアルールで、後に昨年末の「格闘代理戦争」で優勝する平田樹と対戦。一本を取られ敗れている。

「平田さんはすごく強かった。柔道仕込みの抑え込みで、酸欠状態? 息をするのがやっとなくらいな感じで、決められた時のことはあまり覚えていないんです」

 平田選手がああなるとは…。

「思っていなかったです(笑)」

 負けてはしまったが、東京に来て本格的に取り組むにあたって、目標が立てやすくなったのでは?

「そうですね。平田さんとも “またいつか練習したいね”って感じでたまに話したりします」

 試合が終わるとノーサイド?

「そうですね」

 今後。格闘技をやっていく中での身近な目標と長い目で見た目標を教えてください。

「目標というと“ベルトを獲りたい”とかになるのかもしれませんが、まだそのレベルに行っていないので、とにかく強くなって、自分のレベルを上げて、いろいろな人と戦えるようになりたいです」

 インスタグラムやツイッターのプロフィルを見ると那須川天心選手に憧れているようですが。

「それまではヒョードル選手とかいろいろ見ていて、見ているだけで満足だったんですが、天心選手が初めてRIZINでやった試合を見て私も総合格闘技をやりたいと思ったんです」

(撮影・蔦野裕)

「天心選手がRIZINに出ていなかったら違う高校にいっていたかもしれない」
 天心選手の試合がきっかけだった?

「はい。中3の冬の高校受験前でした。天心君が出ていなかったら、もしかしたら違う高校にいっていたかもしれないんです。昔、柔道をやっていたので他県の私立高校で柔道をやろうと思っていたんです。でも天心選手のやっている格闘技をするためには地元の高校に受かって練習をするしかないと思って、それで受験勉強を頑張ったという部分はあります」

 地元の高校より他県の柔道の高校のほうが格闘技へは近道に見えるが?

「柔道は、捻挫癖があってちょっと不安もあったんです。それにそこは全寮制で柔道しかできないという感じで、総合格闘技をやりたかったので“ちょっと違うな”と思って(笑)」

 先ほど「ヒョードルを見ていた」とのことだが、年齢的には…?

「ヒョードルは昔から大好きです。この前、私が10カ月の時の写真と文章が出てきたんですが、そこに“K-1とかPRIDEとかお相撲とかを見て大興奮している” というようなことが書いてあって、“こんな時から好きだったんだ”って自分でもびっくりしました(笑)」

 ずっとヒョードル愛だったのが2年前に天心愛に変わったと…。

「いえ、ヒョードルも並行して好きです(笑)」

 早くプロで活躍して天心選手と同じリングに上がるというのも一つの夢?

「禅道会に入る時に、石岡(沙織)さんが出場するRIZINの横浜大会があったんです。見に行きたかったんですけど、遠くて行けないと思っていたら、禅道会の皆さんがバスで行くということで一緒に乗せていただいたんです。そのバスの中で“もしかしたらバックステージで天心君に会えるかもよ”とか“格闘家になってリングに立てば天心君に会えると思うよ”とか言われて“ホントですか?”って食らいついてましたね(笑)」

 ジョシカク人気が高まっている。格闘技を始めて2年だが、周りの雰囲気が変わっているといったことはある?

「私もその中の一人だと思うんですが、格闘技をやろうと思う人が増えてきているように思います。RIZINでも生放送で女子の試合があるじゃないですか。それを見ている人が結構たくさんいるみたいで、私の友達で格闘技に興味がなかった人たちも“カンナちゃん勝ったね”とか“カンナちゃんカッコいいね”とか言っていて、テレビの効果は大きいなと思いました」

 2年前より「格闘技をやりたい」「格闘技をやっている」ということを言いやすくなっているとか?

「そうですね。結構、みんな“やってるよ”って感じでさらっと言えそうな雰囲気になっていますよね。中学生とか高校生の段階からやりたいという子が増えてくると思います」

 2年前はまだ言いにくかった?

「私は普通に言っていました(笑)。もともと相撲をやっていたので、学校でも“ああ、そうなの”って感じでした(笑)」

 次戦は3月16日に新宿FACEで開催される「DEEP TOKYO IMPACT 2019」でアマチュアルールで永尾音波と対戦する。

「年下の中3か高1と聞きました。AACCに通っている子らしくてあなどれない相手だと思っています」

 吉川選手より若い選手なんですね。

「私より年下の相手ってなかなかいないですよね(笑)」

 まだプロデビューはしていないのだが、これは本人が「まだまだ」と思っているところがあり、今はいわば「雌伏の時」といったところ。今年の夏から来年の春にかけては「受験勉強」というある意味、最も大きな敵と戦わなければいけないため試合はできないが、大学に受かり、東京のジムでじっくりと練習を積み、2020年にはプロで活躍する姿を見せてほしい逸材だ。(本紙・本吉英人)