森田剛×岩松了の新作舞台『空ばかり見ていた』で描かれるのは「内戦下の恋愛」

豊原功補(左)と勝地涼

兵士と恋人、そしてその兄。それぞれの思いが交錯
 V6の森田剛が主演を務める舞台『空ばかり見ていた』の公開ゲネプロが3月8日、東京・渋谷のBunkamura シアターコクーンで行われた。

 同舞台は劇作家で演出家の岩松了氏の新作。かねてより岩松氏が森田にラブコールを送り続け、2人の顔合わせが実現した。

 今回、岩松氏が描くのは内戦下のなかでの「恋愛」。物語の舞台は内戦中の反政府軍のアジト。森田が演じるのはその反政府軍の兵士・秋生。秋生と恋人、その兄である軍の首領、仲間の兵士たちは強固な絆で結ばれていた。命の保証のない日々の中、恋人との結婚を意識しながらも一歩踏み込めない秋生。そんな秋生の胸の内を察し、兵士としてともに戦いたいと思う恋人。そんな中、絶対的な信頼を置いていた首領に対して不信を感じざるを得ない出来事が起こる。これをきっかけに強固に結びついていた絆にきしみが見え始める。

 森田は恋人との揺れる思いに加え、その兄への忠誠と不信という相反する感情に挟まれ苦悩する兵士を好演。

森田の恋人役を演じた平岩紙

森田は「感情移入していただければ大きな感情の波が起こると思う」とコメント
 恋人役の平岩紙は恋人と兄に挟まれ、そして内戦という非日常の状態で神経をすり減らしながらも強く生きる女兵士を強弱のメリハリも鮮やかに演じる。村上淳が演じる兄の首領もこの2人を見守りながらも責任ある立場の重圧に苦悩する。

 物語の核をなす3人がそれぞれ違ったものの板挟みとなり苦悩する中、この3人とはほんの少しだけ距離を置いた立ち位置を取る兵士役の勝地涼、そして捕虜役の豊原功補の存在が見る者を惑わせる。そしてアジトに出入りする女たちを演じる宮下今日子、筒井真理子といったベテラン女優たちが見せる女の強さとしたたかさが多重な物語を生み出し作品を脇から支えている。

 今回の舞台について森田は「登場人物たちは、いずれも単にいい人というふうには言い切れない、ザラザラした感じがあるのが魅力のような気がしています。だからこそ、リアルな人間として映るのではないでしょうか。その場面、瞬間ごとに出てくる人々のやりとりによってストーリーが動いていきますが、感情移入していただければ、観ている方それぞれの中で大きな感情の波が起こると思います」などとコメントした。
 
 同作は3月31日まで同所で上演された後、4月には大阪でも上演される。