レズ風俗で一生分の女性の愛をもらった話【田口桃子の「死ぬまでモテたい」 第28回】
前回までの、「レズ風俗で受けた衝撃」を確かめたくて、ついに関西の老舗店に乗り込むことにしました。
2007年に大阪にオープンした、キャストも利用者も女性同士の女性向け風俗「レズっ娘クラブ」、今回お邪魔したのはその姉妹店「ティアラ」です。
ティアラは永田カビ先生のコミック『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』に登場したことでも話題になりました。
女性のお客様なら、レズビアンの方はもちろん、ノンケであってもバイセクシャルであってもパートナーがいても、18歳以上なら利用ができます。
今回は、実際にお客さんとして利用してどんなことを感じるのか体験してみたくて、予約からしてみることに。
まず、こちらのお店のホームページには、注意事項がたくさん。テキスト量がとにかく多いのです。
「こんな人は利用して良いか?」「こんなことはできるのか?」ということから「禁止事項」まで。「初めての方へ」のページにはQ&Aが100個も!
「ルール違反があったらもう利用はできない」ということも書かれていたので、それらひとつひとつに目を通しました。
私はサイトの予約フォームより予約をしたのですが(予約は電話でも可能)、予約フォームには「キャストへの伝言」という項目が。
こちらのキャストさんは、キャスト個人のSNSはやっていません。最近では、男性向け女性向け問わず、風俗のキャストさんがTwitterなどで日常をつぶやいたり自撮りを載せたり、DMやリプライで交流する人が多いのですが、それがない。
指名するキャストさんに事前に要望や思いを伝える機会は、私たちにはこの「伝言」しかないのです。
今時、顔も性格もわからない人と、たった一度の伝言を通して何が伝えられるのでしょうか? そして、その一度の機会で何を伝えたらいいのか。
「これ以上書いたら引かれるかも」とか「当日はちょっと気が変わっているかも」とか、さんざん頭を悩ませた挙句、思いにしたため、勇気を出して送信ボタンを押しました。
こういう世界に慣れているほうの自分ですが、伝言を含めこの応募フォームの入力をするのに、たくさん脳内でシュミレーションをして、思いを膨らませていたので、珍しくボタンを押すことに緊張してしまいました。
それから1日もたたず、今回指名した「ゆう」さんのブログに更新が。
名前も詳細も書かれていないブログだけど、ああこれは私宛だ、と感じることができる、不思議なお礼ブログです。
私が悩んで書いた伝言を彼女が受け取ってくれた喜びに、当日まで何回も見返すことととなったのでした。
さて、今回私が体験したコースは、デートコース60分+ビアンコース120分。
その名の通りデートコースは二人で出かけるコースで、ビアンコースはホテル内でのプレイになります。
勝手に、背の高いボーイッシュでクールな女性をイメージしていたのですが、待ち合わせに現れたゆうさんは、明るくてよく笑う、関西弁のかわいい女性でした。
合流してからまずは飲食店へ。
今回のデートコースは60分だったので、軽くランチをしました。
初対面の女性と話すのが苦手な私ですが、ゆうさんは前から知っている同級生に会ったような感覚。
すっと同じ目線にあわせてくれて、でも警戒しない程度の近さを保ってくれたので、とても話しやすい方でした。
これまでの女性経験の話から、好きな食べ物の話、お酒の話など、質問もしてくれるし、私が話し出すとしっかり聞いてくれるので、60分間ですぐに打ち解けることができました。
ランチを食べ終わると、そのままホテルへ。
ホテルに入ってからは、お風呂の準備や部屋の調整をしてくれて、至れり尽くせり。
さっきまで同級生だったのが、なんでも世話をしてくれるお母さんのように。
その後のベッドではさらに雰囲気が変わり、いきなりエッチなお姉さんに。
さすがキャスト歴10年のベテラン、時間いっぱいを使って、翻弄させられました。
このお店では、時間内で最後の着替えや準備をしなければなりません。
15分前にアラームが鳴ったら、名残惜しいながらも終了し、準備をして部屋を出ます。
一緒にいたのは3時間でしたが、その中でいろんな顔を見せてくれたゆうさん。
友達と過ごす楽しい時間だったり、私が忘れていた親の愛だったり、情熱的な恋人になってくれたり。とても濃密な時間を過ごすことができました。
過去の、友達、家族、すべての人間関係に不安のある自分にとって、ゆうさんは私に欠けていた人間関係を補ってくれる役割を果たしてくれたように思います。
彼女が自分だけを見てくれるこの時間は、「自分という存在はもっと大切にされてもいいはずだ」ということを思い出させてくれる、かけがえのない時間になりました。
きっとそう感じるのは、私だけではないはずです。
そしてビアンコースでは存分に楽しませてくれるところもやはり魅力です。ただの癒しではない、楽しい時間を作ってくれるところが、10年もの間お客様に支持されているところだと思いました。
終わってからすぐ、「今日はありがとう」のブログが更新されました。
「予約ありがとう」と同じく、具体的なことは少ししか書いてないのに、二人にしかわからない秘密のブログ。
他の人のブログを見ても、何のことだかさっぱりわからないのに、自分宛だとこんなにもうれしいものかと。
予約と利用以外では一切キャストさんと連絡がとれないということに、利用前は物足りなさを感じてしまうのではないかと思っていたのですが……。
実際にはブログを通して、思い出やキャストさんとの秘密の関係を再確認できる良さがあります。ブログに書かれる、ということで日常と切り離すことができるのも良い部分だと思いました。
いかがでしたでしょうか。男性向けの風俗ではないような配慮、システムが導入されていると感じ、私にとっては改めて男性と女性の違いや、生きづらさについて考えさせられた出来事でした。
さて次回は、そんなゆうさんと、代表の御坊さんにインタビューさせていただきます。
GIRL'S CHプロデューサー。2007年、新卒でソフト・オン・デマンド(株)に入社。
営業、マーケティング等の部署を経て、2012年よりGIRL'S CHの立ち上げに携わる。
以来現在まで、GIRL'S CHの現場リーダーとしてサイト運営をしつつ、オリジナル動画ではレポーター出演等をすることも。