【インタビュー】映画『バンブルビー』を手掛けた監督の“日本愛”がスゴイ

 人気シリーズ『トランスフォーマー』の人気キャラクター・バンブルビーが初めて地球に降り立ったときのエピソードを、孤独な少女との出会いを軸に描く映画『バンブルビー』が大ヒット公開中。『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のトラヴィス・ナイト監督が、本作にもつながる“日本との絆”を語る。
トラヴィス・ナイト監督(撮影・蔦野裕)

「8歳のときに来日して人生が一変したんだ」と語るトラヴィス・ナイト監督。



「僕が8歳のときに父親と一緒に初めて日本に来たわけだけど、当時はずっと西海岸に住んでいてその文化やライフスタイルしか知らなかった。だから日本に来たときはあまりにも違う世界に、ものすごい衝撃を受けたんだ。まさに日本は僕にとって別世界だった。ファッションや音楽、食事、芸術、そしてグラフィックや漫画にそこで初めて出会って、まさに目からウロコという感じだったんだ。自分の家の裏庭しか知らないような少年は、そんな別世界を見てアメリカに戻った後も、おみやげでたくさん買い込んだ漫画を読み続けていたわけなんだ。読むと言ってももちろん日本語が読めるわけではないんですけど、絵の表現力があまりにも高いからストーリーをほぼ追うことができたんだ。特に『子連れ狼』を読んだときの衝撃はすごかった。今まで見たことが無いストーリー性を持つ作品だったし、サムライものに触れたのもそれが初めてだった。中でもそこに描かれている父子の関係に、自分と父との関係に通じるものを感じたんだ。その衝撃は忘れがたく、それが『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』につながったんだよ。だから『KUBO』は日本へのラブレターだと僕は思っているんだ」

 アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされた『KUBO / クボ 二本の弦の秘密』では日本のおとぎ話のような世界を驚きの完成度で描き日本でも大絶賛されたナイト監督。8歳のころから並外れた理解力や好奇心を持っていた様子。

「確かに子ども向けの漫画じゃなかったね。でも当時はそんなこと全然気づかなかったよ(笑)。賢い子だったかは分からないけど、確かに好奇心は強い子供だったと思う。アーティストとしては、やはり新しいもの、異なるものに出会った時に成長したり進化することができるんだと考えていて、僕の場合は8歳の時に日本と出会って人生観が変わるほどの成長を得ることができた。漫画や映画といったことだけじゃない、異なる国や文化を見る視点も培うことができたんだ。クリエイティブな人間というのは、そういうふうに成長していくんだと思うよ」
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