識者が語るシド・ミードと映画「ブレードランナー」以後の未来像

「Kronovid」の中で手がけられていた作品はこれ(Entering Stargate ©Syd Mead, Inc.)
見る前には戻れないくらいの世界

 この「Kronovid」を含む「KRONOLOG」は1991年に3500セットしかプレスされず、1枚4万5000円したという代物。会場内には当時購入したというファンが何人かおり、登壇者を驚かせる場面も…。

 トークイベントではSFの金字塔といわれる映画『ブレードランナー』の世界とその続編の『ブレードランナー2049』とともにシド・ミード氏の描く未来デザインをひも解きつつ、以降のSF表現や思想を考察した。

『ブレードランナー』が日本で上映されたのが1982年。関氏が当時を振り返り「その時見た衝撃は、見る前には戻れないくらいの世界だったということ。ただ試写会で“これは暗くてダメだ”という人もいた。それまでのSFは愉快で楽しいものが多かった。それに比べると『ブレードランナー』はハードボイルドで大人のテイストだった。当時20代の自分も含めて、みんなショックを受けて、その後のクリエイターは未来像といえば、当時のブレードランナーのようなディストピア、つまり“ユートピアじゃない世界”を描くようになった。大友克洋の『AKIRA』は典型的なもの」などと話す。