【徳井健太の菩薩目線】第25回 一流のプロフェッショナルのオススメは、踏み絵なんだ
プロか否かの判断基準は“金の臭い”がするか、しないか
だとしても、回転ずしであったとしても、その立場なりのプロの姿はある。どんな分野、立場にもプロフェッショナルはいるわけで、その人たちがオススメする技術や意見は、一定の信頼が置けるものに違いない。その凄みを手っ取り早く享受できる場所が、それ相当の場所。当然、お金もかかる。けども、そこに変な固定観念は必要ない。あると、足が重くなり、得るはずだった知見を得られずに終わってしまうから。
ニーズと向き合うことは、すごく重要なことだよね。その一方で、なんでもかんでも聞いてしまうと、磨くべき自分の腕が鈍るだけのように思う。多機能になったとして、それが高評価を受けるかどうかは別問題だ。
考えても見てほしい。美味いすし屋は、365日、すしを握っている。美味いラーメン屋は、365日、ずっとスープを混ぜている。対して、俺たち顧客のほとんどは食べるときに、一案する程度。プロであり尊敬できる人に対しては、その人の判断に任せた方がいいに決まっているんだ。素人が出しゃばるべきじゃない。これは仕事も同じだよ。アマである自分の意味不明な自我を、プロに向かって唱えるだけ、死へのカウントダウンは加速する。
となると、プロか否かの判断が大事だ。俺は、見極める一つのポイントとして、その人から“金の臭い”しかしなかったら委ねる必要はないと思っている。例えば、家電量販店でオススメの家電を猛プッシュされても、そこに金の臭いしかしないのであれば買わない。商魂が、あまりにも金と表裏一体になっているようなケースは、そもそも買う気も失せてしまうからね。
勝手を知らないんだったらプロの言葉に耳を傾けた方がいい。俺は、初めて訪れる高評価の店にコースがある場合、決まってコースメニューを注文する。オススメだろうコースが不味ければ、そのお店はその程度だと理解できるし、「美味い」と感じれば、こだわりを持っていることが分かる。オススメを提供するってのは、双方にとって踏み絵なんだよね。オススメってのは、覚悟が必要なんだ。
※徳井健太の菩薩目線】は、毎月10日、20日、30日更新です
【プロフィル】とくい・けんた 1980年北海道生まれ。2000年、東京NSC5期生同期・吉村崇と平成ノブシコブシを結成。感情の起伏が少なく、理解不能な言動が多いことから“サイコ”の異名を持つが、既婚者で2児の父でもある。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。