【徳井健太の菩薩目線】第26回 令和になってアイドルを目指す人は減る
“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第26回目は、彼自身が応援してやまないアイドルの在り方が、令和の時代になってどう変わるかについて。此度も独自の梵鐘が鳴り響く――。
令和の時代になって、女性アイドルがどう変わっていくのか、勝手に考えてみたいと思う。
平成の時代は、アイドルの在り方が劇的に変わった。冬の時代を経て、モーニング娘。が『LOVEマシーン』で大ブレイクを果たすと、卒業、シャッフル、新加入といった新陳代謝が当たり前になり、その流れを受けて“会いに行けるアイドル”AKB48が登場した。そして、Perfumeやももクロといった個性豊かなアイドルたちがさらにすそ野を広げると、いよいよBiSのような何でもアリの自給自足のアイドルが出現、現在の地下アイドル乱立を作り上げた。質さえ問わなければ、「街中で石を投げたらアイドルに当たるんじゃないか」ってくらい、アイドル(自称含む)は増えた。
YouTuber同様、「自分にもできるんじゃないか」って思えるようになってしまったことが、平成におけるもっとも大きな女性アイドルの変化のような気がする。当然、質の低い眉唾物の運営も増えた。それでもアイドルになりたい子は減らない。
でも、令和の時代は、“アイドルを目指す子が減る”と思っている。反動として、「アイドルの現実は厳しい」と独白、証言する売れなかったアイドルがたくさん出てくると思うんだよね。俺たち芸人も同じ。ブームになると目指す奴が雨後のたけのこ状態になるけど、ほどなくして元に戻る。厳しい現実が、夢への抑止力になるからだ。
プロ野球選手だって同じ。戦力外通告を受けた選手やセカンドキャリアを歩んでいる選手を見ることで、一流のプロ野球選手のすごさを改めて思い知り、夢に対して現実的に向き合う瞬間が訪れる。それは野球選手を目指していない俺たちにも伝わってくる。ところが、アイドルのリアルは、関心の内側にも外側にもほとんど届いていない。今や、ネットによって独白できる場所は無限に近い。現実を突きつける元アイドルが登場するのは、時間の問題だと思う。