新海誠監督「夢のよう」最新作『天気の子』舞台あいさつ

　本田翼と小栗旬は主人公たちを見守っている大人たちといった役どころ、舞台あいさつでも、役柄同様に彼らのやり取りを笑顔を浮かべながら見ているといった様子だった。

　本作の魅力について聞かれた本田は、「監督のやり遂げる力とかが全部（主人公の）帆高くんに乗り移っている。帆高くんの真っ直ぐで、周りも見ず、周りの何を言われても聞かず、突っ込んでいく姿勢は、大人の自分たちから見るとすごく無謀に見えるんです。止めたくもなるんです。でも止めるその気持ちさえも変えてしまう、すごい力を感じた」

「純粋さみたいなものは素晴らしいなと思いましたし、勇気をもらいます」と、小栗。さらに「……あとはやっぱり、音楽の持つ力ってすごいんだなあと。なんか、うん、すげーって思いました」と、声を大きくした。

　音楽は、ロックバンドのRADWIMPSが手掛けている。監督は「今月に入ってもRADWIMPSは音楽をいじっていて、僕たちも絵をいじっていた。あるシーンでピアノ曲がかかる予定だったんです。RADWIMPSさんはその曲を完成させて持ってきていたんですけど、ぎりぎりになって（ボーカルの野田）洋次郎さんが少し違うような気がすると、その場で曲を編集しだして、ピアノを全部抜いたんですね。それによって、映画が一段上がったような瞬間があった」とし、「本当にRADWIMPSはしつこい！　１回完成させたのにまだやる、まだやるって感じ」と笑った。ただ「こんなギリギリでも映画のためならばわがままになっていいんだ、そういうことを示してくれた気がする」。

「楽しい映画を作ったつもりです」と、監督。「少し気持ちが晴れるような、青空のような映画を作ったつもりです。みんなの力で作りました。たくさんの方に見ていただきたい。あの映画良かったよ、あるいは気に入らないところもあったけど議論をしたいから見てみてと周りの方にすすめていただければ」と、アピールした。

「どういうことがあったとしても、エンターテインメントを作って表現」

　新海監督は、イベントで、アニメ制作会社「京都アニメーション」のスタジオが放火された事件についてもふれた。

「公開の前に、とても痛ましい事件もありまして、どういう気持ちで初日に臨んだらいいのかなと思ったりもしていた」としたうえで、「みなさんの顔を見ることができて、僕たちの仕事は、どういうことがあったとしても、エンターテインメントを作って表現すること、自分たちや誰かを傷つけたりすることも、その可能性もゼロではないけれど、ひるまずにやり続けていくことが自分たちの生業であり、役目であり、一番やりたいことだと改めて思った」と、語った。