【インタビュー】女王蜂・アヴちゃん 舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』待望の日本公演!

 ジョン・キャメロン・ミッチェルが生んだ傑作ロック・ミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』7年ぶりの日本公演! ヘドウィグ役の浦井健治とともに、新たにイツァーク役で舞台に立つのは、大人気バンド女王蜂のアヴちゃん!
女王蜂・アヴちゃん(撮影・蔦野裕 ヘアメイク・木村ミカ)

もし実際、身近にいたら「ヘドウィグにはガチ説教します」



「ちょうど10年前、女王蜂でデビューしたときに“日本のヘドウィグが出てきた”みたいなことを言っていただいていたことがあって…その当時はちょっと“ん?”って思っていたんです」

 それがアヴちゃんと『ヘドウィグ—』との“出会い”だった。

「既存のアイコンに似ているとか言われてもうれしくないし、と当時は思っていて。その時は作品のことをまったく知らなかったんです。自分が好きな音楽やファッションのアーティストたちも影響を受けていた作品だということも後から知ったんです」

 その後、森山未來がヘドウィグを演じた公演を見に行って初めて作品を鑑賞したというアヴちゃん。

「舞台を見たときに感じたのは驚きとか衝撃とかより、そういうことあるよね、という気持ちでした。私自身がやりたい音楽をやって、したいファッションをしてライブで好きなように叫んでいるからというのもあると思うんですけど『ヘドウィグ—』の世界観は、私にとっては未知のものではなかったんです。もちろん、ベルリンの壁の崩壊だとか、手術したけど1インチだけ残っちゃったとか、現代の私たちにはファンタジックにすら思える要素もあるんだけど、作品で描かれていることって今も誰もが思いあたるようなシンプルなことだと思う。『ヘドウィグ—』は人がもう1回“生まれ直す”物語なんだと思っています。魂の片割れを探してあちこち迷い歩いたけど、最後にはおぎゃあって生まれて、おめでとうっていう物語なんだと思う」

 愛と自由を得るために性転換手術を受けたものの、手術の失敗によって股間に「アングリーインチ(怒りの1インチ)」が残ってしまったロックシンガー、ヘドウィグ。いくつもの怒りと悲しみを抱えるヘドウィグに、黙って寄り添うイツァークだが…。もしアヴちゃんの身近にこの2人がいたら?

「ヘドウィグにはガチ説教ですね! なに世界で自分が一番傷ついているみたいな顔しちゃってるわけ? 自分より傷ついている人のことは気にしないのに? もうちょっとイツァークのこと大事にできなかったかなぁ?って。もし私が登場人物としてヘドウィグのそばにいたら舞台にならないですね、お説教ショーになっちゃうと思う(笑)。自分がヘドウィグの気持ちが分かるので、よけい言いたくなるんです。だってまさに10代のころの自分ってああいうところがあったから。ヘドウィグはドラァグ“クイーン”というより“プリンセス”。だからみんなヘドウィグのことがほうっておけない。まあでも私はイツァーク役なので、そう思っていても舞台の上では何も言いませんけど…(笑)」
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