小林直己はアップデートし続けるーー。次世代のエンタメ、三代目 JSBと小林直己
小林直己と映画となると、やっぱり『たたら侍』の撮影時の話を思い出す
一木:『アースクエイク・バード』でハリウッドデビューするんだよね。リドリー・スコットが総指揮の、Netflixの映画。
小林:はい。NetflixとScott Free Productionによる制作で、アリシア・ヴィキャンデル(「トゥームレイダー ファースト・ミッション」)とライリー・キーオ(「マッドマックス 怒りのデス・ロード」)との共演になり、今後配信予定です。
一木:そうなんだ。直己、そして映画となると、僕はやっぱり『たたら侍』の撮影時の話を思い出すんですよ。長い間じっと立たずんだままで、みんなのところへ全然戻って来ないっていう。
小林:それ、言われるまで気がつかなかったんですよ。オープンセットでの撮影で、フィルムを使用するあんなにぜいたくな現場はありませんから。役柄が その村に生まれた人間ですし、あの空間になじもうと思っていて……。
一木:ハリウッドへの挑戦がグループへの返し方という話だったけれど、個人として、いま力を入れているのは俳優業?
小林:そうですね。この2年ぐらいは。ダンサーとしてキャリアをスタートして、EXILEや三代目での活動を通じて、自分が次に向かうべき表現形態は芝居だなと感じたんです。
一木:そう感じたきっかけは、なんだったんですか?
小林:ダンサーとして表現を突き詰めるなかで、自分の理想の形を追いかけてきました。 技術は向上していくんですけど、身体的というか細胞的なピークっていうのはやっぱり動かせない。それでも「表現」を突き詰めていくならばダンスとつながる次のステージじゃないか、って。芝居をしている中、 体中の毛穴が開く瞬間があって。
一木:それで、ハリウッド。
小林:もともと表現したいと思ったきっかけは……人に忘れられるのが嫌だし、それが怖いからなんです。映画って何を見たとか誰が出ていたとかは覚えていなくても、すごく傷ついたり心を揺さぶられた経験は一生覚えている。自分もそうなれるなら誰かが覚えていてくれる。小林直己だってことは忘れても、残した何かを覚えていてくれる。そのために、できるだけたくさんの人の目に留まりたいし、 どうせなら世界一になりたい。それならハリウッドかなってことなんです。
一木:日本から飛びして、「サムライ直己」みたいな意識はある?
小林:最初はありました。でも今は、日本を背負ってとか、日本のアンバサダーという感覚は無いですね。どちらかというと……1人の人間として、どこにいても、まっすぐ自分らしく立っている像を目指しています。そのうえで、小林直己として求められるんだったら提供できるものは全力で提供したい。この仕事は“ご縁”ですから、無理をすればできるということでもないですし。
一木:そのうえで、挑戦してみたい役や作品はありますか?
小林:この間、ニューヨークの雑誌社やマネージメント、エージェントにあいさつをしてまわったんです。その時にストレートに聞いてみたんです、「実際のところ、アジア人ってどうなんだ」って。返ってきた答えは「多様性というキーワードは映画にとってミッション」であるということと、「アジア人男性で主役を張れる人が少ない」ということだったんです。そういうポテンシャルがあると思うからってことも言っていただきました。なので、重複になりますけど、小林直己として求められるなら挑戦したいと思いますね。
一木:エンターテインメント界の人、海外の人も含めて、いろいろな人話すとこれからは忍者、キーワードは忍者だっていうんですよ。ただトラディショナルな忍者じゃなくて、『007』とか『ミッションインポッシブル』のような作品で、現代的忍者の要素を持ったみたいな。
小林:興味ありますね。
一木:さて、モデルとしても活動されていますが、それはまた別の「表現」の話?
小林:そうですね。ファッションにはもともと興味がありましたが、以前参加したパリでのランウェイは、山本耀司 さんとコラボレーションをしたくて参加しました。ヨウジヤマモトの服がすごい好きで、耀司 さんの考え方が好きだったので。