驚きのタッグ実現の舞台裏とは? 松尾スズキ × 中山美穂 インタビュー

映画『108~海馬五郎の復讐と冒険~』
 松尾スズキが監督・脚本・主演すべてを務めて挑むの長編監督映画4作目は、男と女の悲喜こもごもを、ジャンルも常識も越えて描く“18禁コメディー”!? 松尾演じる主人公・海馬五郎の妻で元女優の綾子役には、昨年のドラマ『黄昏流星群』も話題を呼んだ女優・中山美穂。驚きのタッグ実現の舞台裏とは?
撮影・蔦野裕
 脚本家・海馬五郎は、愛する妻・綾子がSNSで若いコンテンポラリーダンサーへの恋心を綴っていることを知り、離婚を決意。財産分与で綾子に支払う額を減らすため、海馬は金を使って、綾子のSNS投稿についた「いいね!」の数=108人の女を抱くという復讐計画を立てる…!

 この驚愕のストーリーに加え、R18指定も納得?の衝撃描写。女優選びは難航間違いなしに思えるが、最初に興味を示したのは中山美穂のほうだったとか。

松尾スズキ(以下:松尾)「以前に同じドラマに出演したきっかけで一緒に食事する機会を頂いて。その席で初めて中山さんとお会いしたんだけど僕は緊張してすぐ話すことが無くなっちゃって(笑)、今こんな映画を撮りたいと思っているんですけど宙に浮いているんです、という話をしたら、中山さんがすごく面白がってくれて」

中山美穂「そのときに、すごく面白そうなのでぜひ出演させていただければ、とお伝えしたんです」

松尾「でもそのときはまさか中山さんが…と、僕も真に受けてなくて。それからしばらくして、ある日知り合いから“今、中山さんといるんだけど、松尾さんのあの映画、すごく面白そうだって言ってるよ”と電話をもらい、せっかくだからシナリオを読んでもらおうかなと送ったら速攻で“すごく面白いです!”とお返事を頂いたんです」

中山「最初に本作のお話を伺ったときから面白そうと思いましたし、送っていただいたシナリオが本当に面白くてぜひともやってみたい、と。ただ過激なシーンが実際にどうなるのか、私で大丈夫なのか、といった不安も確かにありました。でも監督が、絶対に大丈夫、面白いものを作りますとおっしゃってくださったので、私も覚悟を決めました(笑)」

松尾「僕も綾子という役はぜひ中山さんに演じてほしいと思いました。この脚本を読んで、あの役を演じようと思ってくれた。女優さんからしたらかなりハードルの高い役なのに、それを越えてやりたいと言ってくれた。シナリオに惚れてくれたというのはやっぱり大きかった。それと、今の中山さんの持つミステリアスな印象は綾子役にぴったりだと思ったんです。自信だけはあったんです。中山さんに出てもらえれば間違いない、と。シナリオにも自信はありましたし。秋山菜津子さんや岩井秀人さん、坂井真紀さんといった脇を固める人たちがコメディーをばっちりやってくれるのは間違いなかった。僕がドタバタしているのと反対に、中山さんが映画の芯として謎めいていてくれる。それが作品を深くしてくれるという自信があったんです。だから、大丈夫です、思うほど過激にはなりませんよ、とお伝えして。でも結局、過激になっちゃったかな(笑)」
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