岡田武史氏が日本サッカー界に「主体的にプレーする自立した選手の育成」を提言

時折ジョークを交えながらトークを展開した2人

岡田氏「日本人の一つになる強さというものもある」


 また岡田氏は「1998年のW杯はとても大きな壁を感じた。当時、海外でプレーしている選手はほとんどいなかった。スタートラインの10メートル後ろからスタートしているような状況。それをなんとか同じラインからスタートさせようとしたが、力の差を感じた。2010年はかなり差が埋まっていた。海外でプレーする選手も何人かいた。それ以上にアンダーの世界選手権、U-18のW杯で勝つといったことが少しずつ自信になって、スタートラインが一緒になった。そういう中では外国人にはない日本人の良さというのもある。例えば陸上の4×100リレー。一人ひとりのタイムを合わせたら絶対に勝てない。ところがリレーだとメダルが取れる。今回のラグビーW杯も、ラグビー関係者は全員“絶対勝てない”と言ってた。まあ、僕も言われていたけどね(笑)。ところが日本人の一つになる強さというものもある。だから決して日本が劣っていたとは思っていなかった。個の力は劣るが世界で戦っていける力はあると思っていた。ただ最後の主体的にプレーできるかどうかは大きなポイントだと感じたので、今そういう選手を育成するチャレンジをしている」とここでも「主体的にプレーできる選手」の育成について繰り返した。

 ヴェンゲル氏も「恐怖は個人個人の中に宿っている。怖さに目を向けるのではなく、自分は何をしたいのか、目指すものは何かを問うこと。日本のサッカー界はパフォーマンス性をいかに良くしていくかに注目し、複雑でなおかつ非常にシンプルなやり方でそういったパフォーマンス性を構築できると思う。人間が自分のベストパフォーマンスを超えるために、無意識に持っている力を誰かが引き出さないといけない。あるいは自分に言い聞かせてもっとパフォーマンスを上げないといけないということ」などとアドバイスした。