ラグビーW杯日本大会から学ぶ。 ホスト国の「おもてなし」どうする?
ラグビーW杯日本大会が11月2日閉幕。日本はアジアラグビー史上初のW杯8強進出を遂げ、歴史的な快進撃で幕を下ろした。代表選手のプレーに列島が湧き、ラグビーブームを巻き起こしたなか、W杯ホスト国としてのスタジアムの体制・整備も話題になった。日本は来年の東京オリンピック・パラリンピック、2025年の大阪万博などメガイベントの開催を控えており、今回のラグビーW杯は、日本のもてなし力を問う試金石となる。イベントホスト国としての「おもてなし」はどうだったのか。来場者の声とともに振り返りたい。
写真:AP/アフロ
台風により3試合が中止
台風19号が接近する10月11日、静岡・エコパスタジアムではオーストラリア-ジョージア戦(プールD)が行われた。会場にはラグビー体験やユニフォーム展示、フェイスペインティングなどが楽しめる「おもてなしゾーン」が設けられ、子供連れを中心に盛り上がりを見せた。また、障害者用トイレやベビーカー置場が設けられるなど、誰もが安心してラグビー観戦を楽しめる環境づくりにも配慮がなされた。 一方で、過去にない例もあった。10月13日に岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで予定されていたナミビア-カナダ戦は台風19号の影響で中止。ラグビーW杯の試合中止は、10月12日のニュージーランド-イタリア、イングランド-フランス戦と合わせて3試合となった。大会組織委は、台風による大雨などの影響により、スタジアムの近くや会場までの道路で土砂崩れや洪水が発生したと説明。安全第一を考慮する一方で、一次リーグ突破の可能性を残していたチーム関係者からは、「不公平」との声も上がった。ラグビーW杯の過去の大会で試合が中止されたことはなく、経済損失はバスの借り上げ費用や人件費など約1億円に上った。延期や無観客試合での対応など、大会前にその他の可能性を協議しておく必要はなかったか。今後の大会運営に課題を残した。